欠損人形と欠落した僕 エピローグ

扉を叩く音は何年経ってもあの事件を連想させる。

坊ちゃまは昨夜帰ってこなかった。

何かと私を驚かせる事が好きなので、何処かに隠れているのだろうか。

なんて呑気な考えをしていた。


「どなた?」


黒い服を着た恰幅のいい男性が立っていた。

週一回来てくれる、配達員とは違うようだった。


「配達です。これを」


差し出された小包を受け取ると、彼は足早に去っていってしまう。

部屋に入り小包を確認するが差し出し人は書いてなかった。

中身を疑う前に、坊ちゃんの悪戯を勘ぐってしまう。


私は慎重に封を切ると、中からおもちゃの首飾りと子袋が出てきた。

子袋には金貨が詰まっているようだった。

あぁ、きっと坊ちゃんが私へプレゼントしてくれたのだろう。

なら、お返し昨日言っていた様に夕飯は豪勢にしなければ。


私は未だに残る手の傷をさする。生々しい彼の恐怖の痕。

私にとってこれは勲章だ。

さて、今日も坊ちゃんの為に仕事をしなければ。

私は首飾りをつけて厨房へ向かった。

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欠損人形と欠落した僕 月本むう @mu-mumu666666

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