『紅焔の覇王3』
暴君の怒りが、空間を震わせた。
「愚かな……愚かな獣めが」
その声は、もはや言葉ではなかった。純粋な憤怒が、音となって放射されている。龍の骸骨が振動し、地面が波打ち、空気そのものが悲鳴を上げた。
「我に逆らう者に、容赦はせぬ」
四本の腕が、同時に振り上げられた。
呂布の戦術眼が、絶望的な未来を描き出す。あの四本の腕が同時に振り下ろされれば、避ける術はない。赤兎の速度を以てしても、全てを躱すことは不可能だ。
死。
それが、目前に迫っていた。
「赤兎、跳べ!」
呂布は叫び、自らは横に転がった。赤兎は逆方向へ跳躍する。
だが、暴君の攻撃は二人を追った。
一本目の腕が呂布の転がった先を叩く。二本目が赤兎の跳んだ方向を薙ぐ。三本目と四本目が、それぞれの逃げ道を塞ぐように振るわれた。
「がッ……!」
呂布の体を、衝撃波が打った。直撃ではない。しかし、余波だけで体が浮き、再び岩壁に叩きつけられる。
赤兎も同様だった。跳躍の軌道を読まれ、空中で腕に捉えられた。巨大な爪が赤兎の体を掴み、地面に叩きつける。
「グゥッ……!」
赤兎の悲鳴が響いた。
「赤兎!」
呂布は立ち上がろうとした。しかし、体が動かない。全身の骨が軋み、筋肉が断裂している。窮地の逆転が発動しているが、それでも限界があった。
暴君が、赤兎を見下ろした。
「哀れな獣よ。お前は選択を誤った」
巨大な足が、赤兎の体を踏みつけた。赤兎が苦悶の声を上げる。
「我の眷属となれば、苦痛も恐怖も知らずに済んだものを。お前は自ら、地獄を選んだのだ」
足に力が込められる。赤兎の体から、嫌な音が響いた。骨が軋む音だ。
「やめろ……!」
呂布は叫んだ。しかし、体は動かない。
「やめろ!」
暴君は呂布を一瞥し、嗤った。
「見ているがいい、虫けら。お前の愚かな言葉が、この獣を殺すのだ」
さらに力が込められる。赤兎の悲鳴が、盆地に響き渡った。
────────────────────────
意識が、朦朧とする。
赤兎は、痛みの中で思考していた。
これが、終わりか。
結局、自分は何も変えられなかった。逃げ続けた末に、追いつかれ、踏み潰される。それが、自分の運命だったのか。
主の声が聞こえる。
「やめろ」と叫んでいる。
あの者は、まだ諦めていない。体が動かぬ状態でも、声を上げ続けている。自分のために。
なぜだ。
なぜ、あの者はそこまでする。
自分は、ただの獣だ。言葉も話せず、知恵も持たず、ただ本能のままに生きてきた。そんな自分のために、なぜ命を懸ける。
記憶が蘇る。
あの夜、洞窟で戦った時のことを。
あの小さなゴブリンは、自分を倒した後、殺さなかった。それどころか、傍らに座り、静かに語りかけてきた。
『強いな、お前は』
言葉の意味は分からなかった。しかし、その声に込められたものは理解できた。
敬意。
あの者は、自分を敬っていた。獣としてではなく、一つの存在として。
そして、こう言った。
『俺と来い。共に、天下を目指そう』
天下。
その言葉の意味も、当時は分からなかった。しかし、共に時を過ごすうちに、理解した。
あの者は、頂点を目指している。
誰よりも高く、誰よりも遠く。全てを超えて、この世界の頂に立つことを。
それは、赤兎が求めていたものと同じだった。
誰よりも速く。誰よりも強く。誰にも追いつけぬ高みへ。
二人は、同じものを求めていた。
だからこそ、共に走れた。
だからこそ、この者のためなら死ねると思えた。
────────────────────────
痛みが、遠くなっていく。
意識が、闇に沈んでいく。
これで、終わりか。
主を守れなかった。共に天下を目指すと誓ったのに、こんなところで終わってしまう。
悔しい。
悔しい。
悔しい。
もっと、強くなりたかった。
もっと、速くなりたかった。
もっと、あの者と共に走りたかった。
────────────────────────
その時だった。
体の奥底で、何かが脈動した。
熱い。
灼熱が、内側から湧き上がってくる。
これは、何だ。
記憶が蘇る。あの日、黄金龍の血が自分に宿った時のことを。あの時と同じ熱が、今、体の中で燃えている。
龍の血。
それが、目覚めようとしている。
しかし、何かが足りない。この熱を解放するための、何かが。
主の声が聞こえる。
「赤兎……!」
その声に、赤兎は応えたかった。
俺は、まだ終わらない。
俺は、まだ走れる。
俺は、お前と共に、天下を目指す。
その想いが、体の奥底に届いた。
────────────────────────
【条件達成:主への絶対的忠誠と、死を超える意志】
【進化条件を満たしました】
【レベル上限解放:50】
────────────────────────
赤兎の体が、光を放ち始めた。
「何……?」
暴君が、僅かに足を緩めた。
光は赤兎の全身から溢れ出し、やがて盆地全体を照らすほどに膨れ上がった。炎ではない。もっと根源的な、生命そのものの輝き。
「馬鹿な……進化だと? この状況で?」
暴君が、赤兎を踏みつけていた足を上げた。光が眩しすぎて、直視できなかったのだ。
呂布も、その光を見ていた。
体は動かない。しかし、目だけは開けていた。赤兎の変化を、見届けるために。
「赤兎……」
光の中で、赤兎の輪郭が変わっていく。
体躯が大きくなる。四肢が伸び、より逞しく、より優美になっていく。頭部に角が生え、背中から何かが広がり始める。
翼だ。
炎で出来た翼が、赤兎の背中から生えていく。
そして、光が収束した時、そこにいたのは以前の赤兎ではなかった。
────────────────────────
全身が、深い紅に染まっていた。
毛皮は炎そのもののように揺らめき、しかし以前よりも落ち着いた輝きを放っている。体躯は一回り以上大きくなり、筋肉は鋼のように引き締まっていた。
頭部には、二本の角が生えていた。龍の角だ。黄金に輝くそれは、赤兎の中に眠っていた龍の血の証。
そして、背中には炎の翼が広がっていた。広げれば、暴君の腕にも匹敵する大きさ。それが、ゆっくりと羽ばたいている。
四肢は大地を踏みしめ、蹄は地面を焼いていた。その立ち姿には、狼の俊敏さと、龍の威厳が同居している。
瞳が開いた。
金色の瞳。そこには、もはや獣の本能だけではなく、明確な知性と意志が宿っていた。
紅龍馬。
それが、赤兎の新たな姿だった。
────────────────────────
「……ほう」
暴君が、紅龍馬となった赤兎を見据えた。
その声には、驚愕と、そして僅かな警戒が滲んでいた。
「進化したか。しかも、紅龍馬とは。龍の血がそこまで強く宿っていたとは、予想外だった」
紅龍馬は、暴君を見上げた。
その瞳に、もはや恐怖はなかった。
「だが、何も変わらぬ」
暴君が、腕を振り上げた。
「進化したところで、所詮は獣。この我に敵うはずが——」
紅龍馬が、消えた。
「何……!?」
暴君の言葉が途切れた。
紅龍馬は、暴君の背後にいた。一瞬で、その巨体の後ろに回り込んでいたのだ。
神速。
進化によって得た新たなスキル。瞬間的に、通常の三倍の速度で移動する能力。
紅龍馬の口から、炎が放たれた。
だが、それは以前の火炎とは次元が違った。白に近い高熱の炎。獄炎。龍の血が目覚めたことで得た、全てを焼き尽くす業火。
「ぐおッ……!」
暴君が、初めて苦悶の声を上げた。
その背中の甲殻が、溶けていた。あれほど堅牢だった黒い甲殻が、紅龍馬の獄炎によって融解している。
「貴様ァ……!」
暴君が振り返り、腕を振るった。しかし、紅龍馬は既にそこにはいなかった。
翼を広げ、空へ。
飛翔。
紅龍馬は、空を舞っていた。炎の翼が夜空を焼き、その姿は神話の生物のようだった。
────────────────────────
呂布は、その光景を見上げていた。
「……赤兎」
いや、もう赤兎ではない。紅龍馬だ。
かつて共に戦場を駆けた赤兎馬。その魂が、この世界で新たな姿を得た。より強く、より気高く、より美しく。
体が、動き始めた。
窮地の逆転の効果が、ようやく本格的に発動したのだろう。砕けかけていた骨が繋がり、断裂していた筋肉が修復されていく。
立ち上がる。
剣を拾い、構える。
空を舞う紅龍馬と、地上で咆哮する暴君。その戦いに、呂布は加わる準備をした。
「一人で戦わせるな」
呟き、駆け出す。
天下無双を発動。限界まで肉体を強化し、暴君に向かって突進する。
紅龍馬が、呂布の動きを見た。
その瞳に、理解が浮かんだ。騎獣連携のスキルが、二人の意識を繋いでいる。言葉は不要だった。
紅龍馬が、急降下した。
暴君の注意が、空から降ってくる紅龍馬に向けられる。四本の腕が、紅龍馬を迎え撃とうと振り上げられた。
その隙を、呂布は逃さなかった。
暴君の足元に到達し、剣を振り上げる。先ほどは傷一つつけられなかった甲殻。しかし、今は違う。
紅龍馬の獄炎が、甲殻を溶かしている。
その溶けた部分を、呂布は狙った。
「おおおおおッ!」
全身の力を込めた一撃。剣が、溶けかけた甲殻を貫いた。
「ぐッ……!」
暴君が、苦悶の声を上げた。
黒い血が噴き出す。初めて、呂布の攻撃が暴君に届いた。
────────────────────────
「虫けらがァ……!」
暴君の怒りが、さらに膨れ上がった。
四本の腕が、狂ったように振り回される。呂布は跳び退き、紅龍馬は空へ逃れた。
「殺す……殺す……貴様ら全員、殺してやる……!」
暴君の口から、紫の炎が溢れ出した。それが、徐々に凝縮されていく。
呂布の戦術眼が、警告を発した。
あれは、これまでとは比較にならない攻撃だ。全力の一撃。おそらく、この盆地全体を焼き尽くすほどの威力がある。
「紅龍馬!」
呂布は叫んだ。
紅龍馬は、空中で呂布を見た。
その瞳が、頷いた。
呂布は駆けた。紅龍馬が急降下してくる。その背に、跳び乗る。
騎獣連携が、最大限に発動した。
二つの意識が、一つに溶け合う。呂布の意志が紅龍馬に伝わり、紅龍馬の感覚が呂布に流れ込む。
人馬一体。
いや、人龍一体。
「行くぞ」
呂布が呟いた。
紅龍馬が応えるように嘶いた。
暴君の口から、紫の炎が放たれた。盆地全体を覆い尽くすほどの業火。死の炎が、二人を呑み込もうとした。
紅龍馬が、真正面から突っ込んだ。
全身から、獄炎を放ちながら。
二つの炎が、激突した。
紫と紅。死と生。破壊と再生。
相反する二つの力が、空間を歪めるほどの衝撃を生み出した。
「おおおおおおおッ!」
呂布が叫び、剣を構えた。
紅龍馬が、炎の壁を突き破った。
暴君の顔が、目の前にあった。
呂布は、剣を突き出した。
その刃が、暴君の目を貫いた。
────────────────────────
「■■■■■■■■■■■■ッ!!!」
暴君の絶叫が、世界を震わせた。
巨体が、よろめいた。四本の腕が虚空を掻き、足が地面を踏み外す。
紅龍馬が、暴君の頭上を飛び越えた。呂布は剣を引き抜き、その背に跨がったまま着地の体勢を取る。
暴君が、膝をついた。
その目から、黒い血が滝のように流れ落ちていた。片目を失った暴君は、残った目で呂布と紅龍馬を睨みつけた。
「貴様ら……貴様ら……!」
呂布は、紅龍馬の背から降りた。
剣を構え、暴君を見据える。
「まだ、やるか」
暴君は、答えなかった。
その巨体が、ゆっくりと立ち上がる。片目を失い、背中の甲殻を溶かされ、それでもなお、暴君は戦おうとしていた。
「舐めるな……この程度で……この我が……」
しかし、その足がよろめいた。
獄炎の効果だ。紅龍馬の炎は、ただ燃やすだけではない。対象の生命力そのものを蝕む。暴君の体内で、今も炎が燃え続けているのだ。
「くそ……くそ……!」
暴君が、後退し始めた。
呂布は追わなかった。
「……行け」
静かに、言った。
「今日は、ここまでだ。次に会った時、決着をつける」
暴君は、呂布を睨みつけた。
その瞳には、憎悪と、そして僅かな恐怖が浮かんでいた。
「覚えていろ……虫けら……必ず……必ず殺す……」
その言葉を最後に、暴君は盆地の奥へと消えていった。
────────────────────────
静寂が、盆地を包んだ。
呂布は、その場に膝をついた。全身から力が抜け、剣が手から落ちる。
「……生き延びた、か」
いや、それだけではない。
体の奥で、何かが脈動していた。
暴君との戦い。死の淵からの生還。その全てが、呂布の中で何かを変えようとしている。
視界の端に、文字が浮かび上がった。
────────────────────────
【戦闘終了】
【経験値を獲得しました】
【特殊ボーナス:災厄級魔物との戦闘生存】
【特殊ボーナス:災厄級魔物への有効打撃】
【特殊ボーナス:騎獣との完全連携達成】
【呂布 レベルアップ】
52 → 60
【紅龍馬 レベルアップ】
50 → 58
────────────────────────
八レベルの上昇。
通常ならば、数ヶ月の戦闘と訓練を要する成長を、一度の戦いで達成した。災厄級魔物との死闘がもたらした、破格の経験値だった。
呂布の体に、力が漲っていく。
傷が塞がる。砕けた骨が繋がる。断裂した筋肉が、以前よりも強靭に再生していく。
「これが……レベルアップ、か」
この世界に転生して以来、何度も経験してきた感覚だ。しかし、今回は規模が違う。体の隅々まで、新たな力が満ちていくのが分かる。
紅龍馬も同様だった。
その体から、淡い光が立ち昇っている。進化直後のレベルアップ。紅龍馬の潜在能力が、急速に開花していく。
呂布は立ち上がり、自らの体を確かめた。
動く。それどころか、以前よりも軽い。筋力、敏捷、全てが向上している。
新たな情報が、視界に流れ込んできた。
────────────────────────
【呂布 ステータス更新】
名前:呂布
種族:鬼人
レベル:60
HP:980/980
MP:520/520
筋力:488
敏捷:525
知力:310
魔力:285
耐久:450
幸運:115
【スキル更新】
・天下無双(Lv.2)→(Lv.4)【UP】
・騎獣連携(Lv.3)→(Lv.6)【UP】
・危機察知(Lv.8)→(Lv.10)【MAX】
・窮地の逆転(Lv.5)→(Lv.7)【UP】
・戦術眼(Lv.10)【MAX】→ 効果範囲拡大
・剣術(Lv.8)→(Lv.10)【MAX】
・威厳(Lv.5)→(Lv.7)【UP】
・覇気(Lv.1)【NEW】
【新規スキル】
▼ 覇気 Lv.1
種別:威圧スキル(上位)
効果:存在するだけで周囲に圧を与える。格下の存在は戦意を喪失し、同格以上にも精神的動揺を与える
成長条件:より強大な敵と戦い、勝利する
備考:覇者のみが纏う気配。天下無双との相乗効果あり
【称号更新】
・災厄に挑みし者【NEW】
・人龍一体【NEW】
【新規称号詳細】
▼ 災厄に挑みし者
効果:災厄級魔物への攻撃力+10%、恐怖耐性+50%、威圧耐性+30%
取得条件:災厄級魔物と戦い、生還する
備考:世界の理から外れた存在に挑んだ証
▼ 人龍一体
効果:紅龍馬騎乗時、全ステータス+15%、騎獣連携スキルの効果+30%
取得条件:紅龍馬と完全な連携を達成し、強敵を撃退する
備考:人と龍馬が一つとなった証。かつての赤兎馬との絆が、新たな形で結実した
────────────────────────
【紅龍馬 ステータス更新】
名前:赤兎
種族:紅龍馬
レベル:58
HP:1,150/1,150
MP:580/580
筋力:620
敏捷:750
知力:240
魔力:420
耐久:580
幸運:120
【スキル更新】
・神速(Lv.1)→(Lv.3)【UP】
・覇気(Lv.1)→(Lv.3)【UP】
・獄炎(Lv.1)→(Lv.4)【UP】
・飛翔(Lv.1)→(Lv.3)【UP】
・龍血覚醒(Lv.1)→(Lv.3)【UP】
・騎獣連携(強化)(Lv.1)→(Lv.4)【UP】
・再生(Lv.8)→(Lv.10)【MAX】
・危機察知(Lv.9)→(Lv.10)【MAX】
・追跡(Lv.10)【MAX】
【新規スキル】
▼ 龍威 Lv.1
種別:特殊スキル
効果:龍の威厳を放つ。周囲の魔物を畏怖させ、弱者は逃走する
成長条件:より強大な龍種と対峙する
備考:紅龍馬の血統が完全に覚醒した証
▼ 炎身 Lv.1
種別:防御スキル
効果:全身を炎で包み、物理攻撃を軽減。接触した敵にダメージを与える
成長条件:炎を纏いながら戦闘を重ねる
備考:攻防一体の炎の鎧
【称号更新】
・暴君殺し → 暴君を退けし者【強化】
・災厄の天敵【NEW】
【新規称号詳細】
▼ 暴君を退けし者(強化)
効果:深淵系魔物への攻撃力+20%、威圧完全耐性
取得条件:深淵の暴君に重傷を負わせ、撤退させる
備考:暴君に恐怖を刻んだ証
▼ 災厄の天敵
効果:災厄級魔物との戦闘時、全ステータス+10%
取得条件:災厄級魔物に有効打を与え、撤退させる
備考:災厄すら恐れる存在となった証
────────────────────────
呂布は、流れ込んでくる情報を処理しながら、紅龍馬を見た。
紅龍馬もまた、呂布を見ていた。
その瞳には、誇りが宿っていた。共に戦い、共に勝利した誇り。そして、これからも共に歩むという決意。
「……強くなったな、お前も」
紅龍馬が、小さく嘶いた。それは肯定の意味だった。
呂布は空を見上げた。
二つの月が、盆地を照らしている。龍の骸骨が、その光を受けて白く輝いていた。
死闘だった。
何度も死を覚悟した。しかし、生き延びた。そして、以前よりも遥かに強くなった。
これが、この世界の理なのだろう。
死線を越える度に、より高みへ至る。それこそが、覇者への道。
「……帰るか」
呂布は紅龍馬の背に跨がった。
その感覚は、以前とは全く異なっていた。より広く、より安定し、より力強い。レベルアップによって向上した騎獣連携が、二人の一体感を更に高めている。
「北へ帰ろう。皆が待っている」
紅龍馬が、頷くように首を振った。
炎の翼が広がり、二人は夜の空へ飛び立った。
風が、心地よかった。
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