第四話 第三の供物:暖かい目線
「玲玲姉様!何を言ってるのですか!」
私を気遣ってくれた一人の侍女の声で他の侍女も集まった。
「玲玲姉様、血が止まりません!」
「痛くないですか?」
前世で私を慕ってくれた侍女達は青ざめていた。
こんな私にも優しい子達なんですものきっと私が使い物にならなくなっても安心だわ、
でも、
「大丈夫、ちっとも痛くないわ」
「私の治療より美雨妃様のお手伝いをしに行って」
「この手で美雨妃様に触れてしまったら綺麗な美雨妃様が汚れてしまうもの」
本当のことだ。
もう痛覚も売ってしまった私にとってはただれた皮膚も剥がれた爪も何一つとして痛くはない。
そんな私に構うより赤ちゃんをお腹のなかで守っている美雨妃様を優先すべきだ。
「私たちの大好きだった玲玲姉様はどこに行ってしまったのですか?」
「今の玲玲姉様は化け物と変わらない…」
すぐに他の侍女が止めていたが
私は否定しなかった。
化け物に見られても仕方がないわ、
それに止めただけで否定はしていない
私を見る目は皆怯えきっている。
きっとここにいる皆から私は化け物に見えているのね、
悲しくなんてないそんな目線慣れているから、
「どいて……」
静かだけど強くて優しい声。
美雨妃様は他の侍女達をかき分け私の手を握ってくれた。
きっと優しくて温かいのでしょうね。
「騒がしくして申し訳ございません、」
「私は大丈夫です、お召し物が汚れてしまいます」
「嘘つかないで、大丈夫なわけないでしょう?」
美雨妃様は私の言葉を無視して震える手で薬を塗り、包帯を巻いていく
その瞳には侍女達とは違う恐怖ではなく溢れんばかりの悲しみと憐れみを宿った、
私が一番欲した『暖かい目線』が宿っていた。
ああ、なんて幸福なことでしょう。
皆が私を化け物だと思う中貴方だけはまだ私を
治療が終わってなお美雨妃様は私にその『暖かい目線』をくれた。
この目線を守りたい。
周りの殺気が強くなっている、
もし刺客が来てしまったら今の私には守りきれないわ、
なら、
神様、神様、契約がしたいの
心のなかで唱えるとまた神様が来てくれた。
「神様、殺気が強くなっているわ、」
「この運命変えさせて、」
「………お前は何をかわりに差し出す?」
「この『視覚』なんてどうかしら?」
「分かっているのか?」
「あの主の顔も目もあの主が産む赤子も、お前が守りたいもの全てが見えなくなるぞ?!」
「構いません、だって私は先程頂いたあの『暖かい目線』を忘れることなどございませんから、」
「確かに美雨妃様の赤ちゃんをこの目で見えないのは残念ではありますが、お二人を救えるのなら安いものです」
「訂正する、お前は『少しおかしい』のではなくてずいぶん狂っているのだな」
光りに包まれた、
今度はその後の暗闇が晴れることはない。
視覚がなくなった、これで美雨妃様の最悪な運命を変えることができるのですね、
「神様、私からまだ奪うものがありますか?」――五感を捨てた狂信者の救済―― あい @2026you
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