第二話 第一の供物:味のない甘露

あれから三日後。

私は一瞬たりとも気を抜かず、

美雨妃様を葬った、

忌々しい毒を探していた。

残念ながらあの時どこで毒を盛られたのかが分からなかったのです。

分からないのなら全て確認してしまえばいい、

厨房や他の侍女たちが作る料理まで。

私だって仲間を疑いたくはありません。

ですが、誰が美雨妃様と赤ちゃんを葬るために誰を買収しているのか分かりませんから。

私の行動に疑問を持った娘もいましたが、

「お祝いの準備で忙しいの」

と言ったら信じてくれました。

全てが嘘なわけではありません。

お祝いをするにはまず無事に産まれ美雨妃様も赤ちゃんも健康で居て頂かないと!

私はそのための準備をしているのですから、

いつものように美雨妃様に運ばれてくる食事

これね、

美味しいもののはずなのに違和感のある匂い。

このスープを召し上がってその日の夜に美雨妃様は倒れられた。

神様、神様、

来ました、これが美雨妃様を葬った忌々しい毒です。

目の前が真っ暗になると神様がやってきた。

「神様、これが美雨妃様を葬った忌々しい毒です」

「そうか、この運命を回避するためにお前は何を差し出す?」

「『舌』なんてどうでしょう?」

「良いのだな、お前はもう甘味も毒の苦味すらも感じれなくなるんだぞ、」

「ええ、構いません、」

「こんなことで美雨妃様をお守りできるのなら!」

「そうか、」

光りに包まれまた真っ暗になりました。

「玲玲?玲玲?」

「あ、申し訳ございません、美雨妃様少し考え事をしていました」

「そうなの、大丈夫?」

こんな私を心配してくれるなんてなんてお優しい方なのだろうか、

「はい、美味しそうなお料理ですね、」

「毒見私がしてよろしいでしょうか?」

「ええ、お願い」

スープを口に含む。

舌の上を滑る液体は何の味もしない熱だけが伝わってくる。

美雨妃様が好きだったスパイスも毒の苦味すらもどこかへ消えてしまった。

心臓が脈がいつもと違う気がする。

きっと毒が回ってきているのだろう。

「美味しい?」

「はい、とても美味しいです」

美味しくはない味がしない

でもたったこれだけで美雨妃様のお喉を守ることができた。

なんて幸せなのだろうか

「よかった、ありがとね、玲玲」

優しい笑顔を浮かべる美雨妃様、

ああ、本当に良かった。

貴方のその笑顔を守ることができたのに私が差し出したのは『舌』だけ

こんなに安い代償でいいなんて本当にあの神様はお優しい。


 

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