第4話 家族の決断と静かな絆
家の近くの路地に入ると、雨はいくらか静かになり、傘に落ちる雨音が数摘強い音を立てる。石畳が続き、木製の古い住宅が立ち並ぶ閑静な一角に辿りつくと、自宅のドアベルを鳴らす。鍵が開く音がして、扉が開いた。
そこに立っていたのは、やつれた表情をした母親だった。
「ただいま」
その憔悴しきった顔を見ると、情けない声しか出ない。
「もう、心配したじゃないの。とにかく、今すぐお風呂に入りなさい」
母親の言葉に頷いて、赤い傘を畳み、玄関の隅に置いた。
高嶺に出会ったことは、両親にも話す気がしなかった。風呂上がりに、ご飯や焼き魚、煮物やみそ汁を出されると、心配しながらも帰ってくることを待っていてくれたのだと改めて気づく。
そして、母親と同じく年老いた父親が、食べ終わった食卓に座って話し始めた。
「父さんは今日、病院の先生に相談してきたんだ」
父親の肩は丸く、目には年老いた陰がみえる。
「お前も十八になるし、大学受験は諦めて、早く就職した方がいいと先生からは言われたんだが……」
説教をされるのかと思いきや、話題は勉強を続けるつもりがあるかという確認だった。
「お前はどう思う?」
小雪は、年老いた両親の姿をみて、成績も振るわず、このまま目的もなく大学に行きたいとは言えなかった。
「障害があるならどうしようもないし、早く働いて自立するよ」
そうすることが、障害者として生まれて親を悲しませた贖罪になると、この時は思っていた。
両親も顔を見合わせて、安心したようにわずかに微笑んだ。
「明日、病院の先生に紹介された専門機関に父さんと行こう」
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赤い傘と空に架ける橋 〜高校を捨てた僕が、赤い傘の中で見つけた光〜 村上玲仁 @harunamuraoka0319
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