第4話

男は眠れませんでした。


……やらなければならないんです。

いいえ、でも、やりたくないんです。

その板挟みで、心が裂けそうでした。

その時、少女が男の部屋まで来ていました。そして彼女は言いました。

「……助けてくれて、ありがとう」

男は驚きました。

あの野生児だった少女が、ちゃんと礼を言えるようになっているのです。

成長している、普通の女の子として。

「……明日、君のツノの手術をする」

男は告げました。

少女の目から、一粒、涙が落ちました。

「……わかった。先生がそう判断するなら……」


涙を拭って、無理やり笑っておりました。

その笑顔が、男の胸を深く刺しました。命を救うとは、生かすことだと思っていました。ですが、ここで角を切ることは、彼女を“生き残らせる”だけで、生かすことではないのです。

ただ男は、無力な自分を右手を眺めることしか出来ないのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る