最终章 桜の咲く海辺での再会
汐見町の春は、いつも遅く訪れる。
灯台の下の桜の木に、最初の一輪の花が咲いた時、秋也はもう高校三年生になっていた。
彼は大きく変わった。
彼はもう、あの陰気で孤独な少年ではなくなった。彼は積極的にクラスメイトたちに声をかけ、文芸部の活動に参加し、自分の書く詩をみんなに読み聞かせるようになった。彼の詩の中には、海があり、灯台があり、星屑があり、それに夏森柚という少女のことが書かれていた。
担任の先生が笑顔で言った。「秋也くん、今やクラスの小さな詩人ですね」
隣の席の女の子が新しい詩集を贈ってきて、笑顔で言った。「秋也くん、理想の大学に合格するように」
秋也は詩集を受け取って、笑顔で言った。「ありがとう」
彼の笑顔は、春の陽射しのように優しかった。
彼は毎日放課後、やはり古い灯台の下へ行った。
彼は画用紙入れを持って石段に座り、絵を描いた。夕陽の海、星空の灯台、桜の咲き誇る木々——彼の絵の腕はだんだんと上手になり、夏森柚の絵のようになっていた。
彼はまだ待っていた。
未完の夕日を、優しい彼女を。
彼は汐見町の大学に合格し、専攻は文学だった。彼はこれから、たくさんの詩を書くつもりだ。この海のこと、この灯台のこと、彼と彼女の物語のことを。
桜が一番華やかに咲いた日、汐見町は一段と晴れ渡った。
秋也は画用紙入れを持って古い灯台の下へ来た。桜の木の花びらが、まるでピンク色の雪のように舞い落ちていた。彼は石段に座り込み、絵筆を手に取ってこの桜の海を描き始めた。
「あなたがここにいたんですね」
砕けた氷がグラスに当たるような、澄み切った女声が突然、背後から響いた。
秋也の手が、一瞬にして震えた。
彼はゆっくりと顔を振り返った。
桜の木の下に、白いワンピースを着た少女が立っていた。手には画用紙入れを提げており、黒い長い髪が風になびいている。瞳は星屑を湛えているように輝いており、三年前とまったく同じだった。
「ずっと探していました」夏森柚は笑顔を浮かべて近づき、彼の隣に座り込んだ。「夏森柚です。お久しぶりです」
秋也は彼女を見つめ、瞳が一瞬にして赤くなった。
彼は口を開いた。喉元には千言万語が込み上げてきたが、最後に出てきたのはただ三文字だった。「お久しぶり」
夏森柚は笑顔で頷き、彼の手に持つ画用紙入れを見て言った。「あなたも絵を描くようになりましたね」
「うん」秋也は頷いた。「あなたの教え子です」
「すごく上手ですね」夏森柚は彼のスケッチを手に取って、桜の海を見つめて言った。「私の絵よりも上手です」
秋也の頬があつくなり、彼は彼女を見つめて尋ねた。「どうして……戻ってきたんですか?」
「汐見町の大学に合格したんです」夏森柚は言った。「お父さんが言うには、汐見町の海は世界一優しい海だって。私は約束を果たすために、戻ってきたんです」
彼女は彼の瞳を見つめて、ささやいた。「秋也くん、私たちは約束しましたよね。毎日放課後、一緒に夕日を見るんだって」
秋也の涙が...
星降る無音の海 夏目よる (夜) @kiriYuki_01
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