仙人の住む山

とある山の入り口付近で音声の録音されたテープが発見された。

再生して内容を聞いてみる。


高橋「私は高橋と申します。本日は取材に応じてくださり、ありがとうございます。貴方が加藤さんですね?」


加藤「いかにも。わしが加藤です。遠路はるばるよく来なさった。歓迎しますぞ。」


高橋「ありがとうございます。早速ですが、仙人と呼ばれているそうですね。」


加藤「いやいや。わしが仙人なのではなく、わしと仙人が住んでいるんじゃよ。」


高橋「そうなんですか?その仙人は一体どこにいるんです?」


加藤「仙人は知らない者がいると出てこないんじゃ。」


高橋「そうですか。とりあえず取材に入りますね。実は、この山の近くで行方不明になっている人が数人いるという話を聞きまして。それを調査しに来たんです。」


加藤「ほう。それは大変ですな。」


高橋「私はね、加藤さん。貴方が関わっているのではないかと思っています。」


加藤「仙人の仕業かも知れませんな。」


高橋「・・・ご冗談を。加藤さん、貴方この山に一人で住んでるんでしょ?本当は貴方以外いないんじゃないですか?」


加藤「ここに住んでるのはわしと仙人じゃよ。」


高橋「ふざ・・・失礼。では、話を変えましょう。実は亡くなった人の中に私の妹がいましてね。遺体は山の入り口付近で発見されたんです。」


加藤「ほう。可哀想に・・・。」


高橋「妹には切り傷や刺し傷など多くの傷痕がありました。とても偶然の事故で済まされる状態じゃなかったんですよ。」


加藤「なんと!!それはお辛い・・・何とも酷い話ですな。やはり仙人の仕業じゃな。」


高橋「・・・あくまで自分はやってないって言うのか!じゃあこうしよう!俺はあんたの手足を縛る!本当にあんたがやったんじゃなければ、俺は無事に山を降りられる!あんたは動けなくて数日もすれば死ぬ!それなら俺もあんたが犯人じゃないって納得できる。」


加藤「・・・そうすることで納得するというのであれば、縛ってもらって構わんよ。ただ、帰り道は油断するでない。仙人が何するか分からんのじゃ。」


高橋「何が仙人だ!あんただろ!手足が使えなくても殺せるっていうのか!?」


加藤「仙人であれば、余裕でできるじゃろうな。」


高橋「そうかい、じゃあやってみろよ仙人!ほら、俺はここだ!殺してみろよ!」


加藤「こら、何をやっておる!?仙人の怒らせたら本当に殺されるぞ!」


高橋「だからやってみろって!ほら!縛られてるからできないんだろ?やれるもんなら・・・グフッ!!」


加藤「あぁ!だから言ったのに!」


高橋「な・・・何だおまえら・・・。」


加藤「何度も忠告したじゃろ。わしと仙人がいる、と。」


テープはそこで終わっていた。

内容も気になったがそれ以上に、加藤の「仙人」という言葉だけが、何度再生しても、微妙に別のものを指しているように聞こえた。

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