気づいてしまった話―意味がわかると、少し怖い短編集―

森永エンゼル

私は犯人を知っている

先日、女子高生が殺される事件が起きた。

まだ犯人は捕まっていない。

でも、私は犯人を知っている。

だって私、犯行現場を目撃していたから。

あれは雨がどしゃ降りの夜だった。

会社からの帰宅途中にその女子高生を見かけたの。

次の瞬間、犯人は女子高生にナイフを何度か振り下ろした。

「やめて・・・お願い・・・」。

その言葉を最後に、女子高生は動かなくなった。

震えたように、やっと絞り出した言葉で印象的だったなぁ。

そんなにはっきり目撃したなら何故警察に言わないのかって?

そんなことしたら大変でしょ。

事情聴取だなんだって、長時間拘束されることになるんだから。

毎日仕事に追われてるし、そんな時間ないし。

窓から外を見ると、警察が犯人について聞き込みをしている姿が見えた。

犯人がまだ捕まってないんだから、当然か。

やだなぁ、怖いなぁ。

でもまあ、この家の中にいれば誰も入ってこないし大丈夫。

さて、そろそろお風呂に入ろうかな。

私がお風呂場に行き何気なく鏡を見ると、そこには私が知っているはずの犯人が映っていた。

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