第4話 歪んだ幸せ

大量のゴブリン達と戦った。しかし、別動部隊が気になるとアルト様は1人で行ってしまった。

空に光が弾けた。緊急信号だった。アルト様達は無事だった。

別動部隊の隊長だったアレンが2人目の副団長となった。

嫉妬に焦がれた私はその晩、アルト様の部屋に行ったようだった。



翌日、アルト様の肌には新しい花が咲き誇っていた。私は満足していた。

そんな中、アルト様から街へ行こうと誘われた。

露店の前でアルト様が立ち止まる。これまで一度も止まったことがないのに。

そして、1本の髪紐を選んで私の髪に照らしながらアルト様は笑った。


「…同じ色だな」


貴方は誰だ。


今、目の前にいる人は私の知らない人だった。

決定的だったのは、次に入った宝飾店だ。

私のネックレスを買うと言い始めた。


「このままでいいです」


手放せないのは理由があった。

もしこのやり直せない時間の中で何があった時、どうにかしてくれるかもしれないという希望があった。

アルト様は少し悩んでブレスレットを私にくれた。

それにはアルト様の瞳と同じサファイヤが付いていた。

それから私は距離を置いた。

朝の支度も、食事もアレンに任せた。

アレンから苦情が入った。

アルト様が不機嫌だ、と。いつも彼は笑顔だ。そんなわけない、と思っていた。

そんな話をしていると、この世で1番嫌いなキラーラビットが出たと知らせを受けた。

討伐している最中、虫の居所が悪いアルト様は魔法であっという間に倒していった。


全てを倒し終わるとアルト様が倒れてしまった。

私はアルト様が起きるまで側にいた。

起きられた時、私の顔を見て嬉しそうだったアルト様は急に激昂した。


「それがいけないのか?それがお前を縛り付けているのか?」


私のネックレスを引きちぎられてしまった。


「……お前は、何をみているんだ。オレを見ているはずなのに……見ていない。誰を見ているんだ」


「お願いします。返して下さい。お願いします」


私は床を見ていた。ボタボタと落ちた涙がシミを作っていた。

ネックレスは返して貰えた。だが、アルト様は酷く傷ついた顔をしていた。


「なんか言えよ。教えてくれよ。オレが分からないんだよ」


アルト様の手が涙で濡れた私の頬を包み込む。ゆっくりと視界が赤く染まっていった。

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