第1話 意外な相談者
私はいつものように学校が終わると、学校の端っこにある倉庫のような部屋を無理矢理相談室のようにした部室へと足を運んだ。
「こんにちは、今日は誰が出勤ですか?」
と華やかな表情で、本棚を指で掴み、その本棚から顔をチラッと相談側の方へとだした。
「ああ、桜か。っていうかその言い方やめろっていたでしょ?」
と先輩がいつものように明るく話した。
「ああ、今日は晴海先輩だけですか?」
と少し残念そうに聞いてみると、
「悪かったね。”出勤“してるのが私だけで。」
と指でピースサインを折り曲げて伸ばすような仕草をしながらニカっと返してきた。そんなことはお構いなしに、私は続けた。
「んで、今日は予約なしの日ですよね?何人きますかね。」
と聞いた。
「っておい、スルーかいな。なんかツッコミ入れんさいよ!」
と先輩は少しキレ気味に言いながらも続けた。
「さー、水曜はどうなるかわからん。そもそも水曜は活動日じゃなかったのに、あんたがフリーの日も作りたいっていうから。」
と部室にお客さん用に置いてある棒付きのキャンディーを袋から出し、口の中に放り込んだ。ロングで清掃系な先輩の見た目からはとても想像もつかないような、少しヤンキーのようなところが出る先輩は初めはびっくりしたものの、慣れてしまえば、一番接しやすい先輩だ。
「けど先輩、なんだかんだ部活好きなんですよね?だって私の意見を通して水曜も部活できるようにしてくださったし、今日はオプショナルなはずですよね?」
と私は煽るように返した。先輩は鼻で笑いながらプイっと顔を窓の方に向けながら、
「まあ、後輩ちゃん一人で部活任せるのはねぇ。」
と言った。
「先輩ってツンデレですよね」
というと、こっちにクルッと顔を向けて、
「なんだとーー!!」
とちょっかいを出してきた。その時、ガラッとドアが開く音がした。先輩と私はそのままの体制でピタリと止まった。
「えっと…今日は予約なしでも相談できると聞いて」
と弱々しい声で話しかけてきた。
「「ってかなんかツッコめよ!」」
と二人しながら声をだした。相談に来た子は少しビビりながらも、
「ああ、すいません。」
と答えた。私は先輩と顔を合わせてから、
「じゃあ、先輩お願いします。」
と言いながら、私は裏の方へと行った。と言っても本棚の後ろにある畳4畳ほどのスペースなのだが、そこに持ち込んだポテチの袋を開け、食べようとしたところで、再び誰かが入ってきた。
「ん?ああ、薫か。珍しいね。水曜日に来るなんて。」
と話しかけると彼女は驚きながらも、
「うわぁ、いたの?ってかそれ…」
と私が持っているポテチを指さしてきた。
「ああ、まあ今日は予約なしの日だし。食べる?」
と私は口いっぱいのまま返しながら、ポテチを差し出した。
「いや、大丈夫。っていうか、私今日部活に来たわけではなくて。」
と答えた。彼女は同じ部活の子で、週2で来来るのだ。この部活は会社でいうところの、フレックスタイム制のようなものがある。週一、二回は部活活動をするようになっていて、多くいくかや、何曜日に行くかは自分で決めることができるのだ。ちなみに私は大体週三で、気分によって多く来たりもする。そのぐらい自由な部活だ。そんな彼女が水曜日に来たことは今までなかったため、少しびっくりしているということだ。
「今日はその、相談というか。」
なるほど、相談しに来たのか。
「ん?え?相談?大丈夫?話聞こか?いや、それが仕事か。ってか私でいいの?先輩がいい?」
とつい質問詰めをしてしまった。
「いや、桜ちゃんで大丈夫だよ。」
と言ってきた。桜で、いいってなんだよ。桜が、いいの間違えだろ、と思いながらも、相談室の方へと行こうとしたら、袖を掴まれた。
「いや、ここで、いい…」
と言われた。
「あ、そう、」
と答えながらその場に座った。そして彼女は話を始めた。
見えない鎖 海月ともね @Mizuki_Tomone
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