第6話
翌朝――
目を覚ました瞬間、自分がどこにいるのかほんの一瞬わからなくなるほど快適な眠りだった。
厚手のブラインド越しに差し込む朝の光はやわらかく、空調は完璧に調整されていてシーツは上質なリネン特有の滑らかさに包まれていた。
全身がまるで深い温泉に浸かったあとのように軽く、そして不思議なほど心が落ち着いていた。
スイートルームのバスルームには朝の準備に必要なものがすべてそろっていた。
電動の歯ブラシやスキンケア用品はもちろん、ドライヤーも業務用クラス。バスローブはふわふわでタオルは温められていて、何もかもが“こちらのコンディションを整えること”に配慮されていた。
そしてダイニングルームで用意されていた朝食は、想像を超える豪華さだった。
焼きたてのパンに季節のフルーツをふんだんに使ったコンポート、ふっくらとしたオムレツは中からとろけるチーズが溢れ出し、添えられたサラダには朝摘みのハーブが散らされている。
香り高いコーヒーはミルを使って挽きたての豆から淹れられ、飲む前からその香りに体がほぐれていくようだった。
「……本当に、ここは施設なんだろうか」
思わず独り言が漏れる。
ここまで至れり尽くせりの対応を受けることにまだどこか現実感がなかった。
けれどそれは間違いなく「男性が貴重な存在」とされるこの世界の、ゆるがぬ現実だった。
朝食を終えた僕はダイニングで控えていたスタッフのひとりに声をかけてみることにした。
「すみません、今日も……あの、昨日の“医療受精行為”、受けられたりしますか?」
その一言を聞いた瞬間スタッフの女性の目が明らかに見開かれた。
たとえ穏やかに微笑みを保っていたとしても明らかな“驚き”がそこにあった。
「……あの……本日も、ですか?」
「はい、もし可能であれば……今日もお願いできればと思って」
スタッフはほんの数秒、言葉を失ってからハッとしたように姿勢を正し、小さく息を飲んだ。
「……もちろん、可能です。ですが……二日連続での施術をご希望された男性は私の記憶の限り、この施設では過去に一例もありません」
その言葉に逆に僕が少し驚いた。
「そうなんですか?」
「はい。ほとんどの男性は一度の施術でも精神的・身体的に大きな負担を感じられるようで、一定の休息期間を希望されるのが一般的です。ですからこうして“今日も”とおっしゃっていただけることが、私たちにとっては信じられないくらいありがたいことなんです」
彼女の目には心からの感謝が宿っていた。
そのまま彼女は丁寧に一礼し、すぐに施術室の準備に入ってくれた。
――そして僕は再びあの“施術室”へと案内された。
昨日と同じ静かで温かみのある照明、清潔でやわらかなベッド、そして空気そのものに“迎え入れる”という空気が漂っていた。
そこには昨日担当してくれたセラピスト柚月さんと葵さんが微笑みながら僕を迎えてくれていた。
「本日は二日目の施術とのことで……ほんとうにありがとうございます」
「どうかご無理はなさらず、私たちにすべてを預けてくだされば大丈夫ですからね」
昨日と同じようにあるいはそれ以上に丁寧で、やさしい言葉に包まれて僕はゆっくりとベッドに横たわった。
これから始まるもうひとつの“受精医療行為”。
それは決して機械的でも形式的でもなく、今日も変わらず“ひとつの命の儀式”として彼女たちの手で、静かに丁寧に始められようとしていた。
施術室に案内された僕は昨日と同じく、丁寧に準備されたベッドに腰を下ろしていた。
部屋の空気は静かで落ち着いていて照明はやわらかく、アロマの香りがほんのり漂っている。
「昨日と同じ流れでよろしいでしょうか? もちろん、すべて丁寧に進めますが……」
僕はその言葉に少し考えた末、口を開いた。
「もし、できるなら……今日はちょっと趣向を変えてもらってもいいですか?」
彼女は少しだけ目を見開き、「はい」と答えたあと、興味深そうに続きを促してきた。
「たとえば……どういったご希望がございますか?」
僕は少し照れながらも、はっきりと口にする。
「昨日は、すごく丁寧で優しかったけど……今日は逆に、強引な感じで……」
その瞬間――彼女たち瞳がわずかに揺れ、口元に穏やかな笑みが浮かんだ。
意外にもまるで面白いお願いをされたように、ほんの少しだけ楽しそうな気配をにじませながら、静かにうなずいた。
「……承知しました。なるべくそのご期待に沿えるよう、対応いたします」
柚月さんはそう言うとプロフェッショナルな態度を保ったまま、タブレットで何かを確認し、施術の準備を整え始めた。
「通常、男性の方は月に1回、もしくは多くても2回程度の協力で、しかもほとんどの方が“義務だから”という理由で応じる程度です。
正直、積極的に施術を望まれる方はほとんどいらっしゃいません」
そう語る彼女の表情にはほんの少し戸惑いが混じっていたが、それでも僕のリクエストを受け入れる姿勢は変わらなかった。
「でもこうして自ら希望してくださる方がいるのは……私たちにとって、すごく励みになるんです。
だから今日は“強引に搾り取る”役、しっかりやらせていただきますね」
その言葉のあと彼女の動きに変化が現れた。
立ち姿にどこか威圧感が加わり、声のトーンもほんの少し低く艶を帯びていた。
それはまるでふだんの彼女とはまったく違う“もう一人の彼女”が現れたような印象だった。
「じゃあ、ベッドに仰向けになってください。股でぎっちぎちにしてあげますからね?」
柚月さんの言葉に、僕の心臓が一気に高鳴った。
優しいだけの施術とは違う――“支配される”演出のなかで、自分がどう導かれていくのか。
そんな未知の体験への好奇心と緊張が、僕の中で熱を帯びていく。
僕は素直にベッドに仰向けになり、首の後ろに柚月さん……いや、今日の“支配者役”のセラピストの太ももが回り込んでくる。
やわらかい鼠径部が後頭部に押しつけられ、脚がすばやく“首4の字”を描くように組まれる。
「きゅって絞めて、逃げられないようにしてあげますね。観念してください」
彼女の声は甘く、しかしどこか突き放すような冷たさを含んでいた。
喉元を締め上げるふくらはぎの圧がじわじわと強まり、呼吸が浅くなる。
そして上からまたがるもう一人のセラピスト――葵さんもまた、目元に静かな情熱を宿しながら、僕の腰へとゆっくり腰を落とす。
「じゃあ、始めます。今日はあなたの意思じゃなくて……私たちが勝手に“出させる”から」
その瞬間、僕の身体はふたりのセラピストの“演技”の中に完全に取り込まれていった。
昨日とはまったく異なる空気。
でもそれもまた、この世界における“命の儀式”のひとつの形だった。
「じゃあ――覚悟してくださいね」
耳元で囁かれたその声は、昨日の優しい施術とはまるで違っていた。
柚月さんの口調は静かで落ち着いているのに、どこか支配的で容赦がない。
そしてその声に合わせるように、彼女の太ももがゆっくりと僕の首を締め上げていく。
後頭部は鼠径部のやわらかさに埋まり、左右から挟まれる内腿の密着感は圧倒的だった。
ふくらはぎが喉元にぴたりと寄り添いそこにじわりと力が加えられる。
呼吸が徐々に浅くなり視界が葵さん――今日の“上に乗る側”のセラピストだけに集中していく。
「逃げ場を探してる感じですね……でも、もう無理ですよ」
足をほんの少し絞め直しながら言う。
「あなたの動きも声も、意志も、全部、私たちの中で“管理”されてるんです」
僕の身体は完全に固定されていた。
そして葵さんは僕の下腹部にゆっくりと腰を落としていく。
その動きには、やさしさではなく“支配”があった。
あくまでセラピストである彼女たちのリードで、僕は進まされる。選択肢などはない。
それが、今日の施術だった。
「深く……ちゃんと奥まで入ってます。あなたの一番大事な部分、いま私の中に収まってるんですよ」
葵さんの声は笑っているようにすら聞こえた。
けれどその一言一言が、僕の心の深部をじわじわと縛っていく。
腰がゆっくりと動き出す。
深くねっとりと、内側から絡みつくような圧力と動き。
決して速くはない。でも逃げ場はなかった。
「動かしていいって、誰が言いましたか?」
僕の腰がわずかに反応したのを見て、葵さんが冷たくでも色気を帯びた声でそう言う。
そして彼女は自分のリズムを崩さずむしろ意識的にペースを落とし、僕の反応が高まるほど“焦らす”ようにゆっくりと腰を動かしていく。
「今日は私たちのタイミングで“出させる”日なんですから」
脚で首を締める圧が、さらに一段階強くなる。
内腿が肌に食い込むように密着し、後頭部にぐっと重みが乗った。
視界の中心にあるのは葵さんのゆるやかな身体の動き。
腰の上下に合わせて僕の身体の奥が否応なく刺激される。
中はぬくもりに満ち、じんわりと螺旋を描くような圧が加わってきていた。
「あなたが“壊れそう”になる寸前まで追い詰めて、そこから一気に“搾り取る”んです」
葵さんはなおも一定のリズムで腰を動かしながら、僕の胸元にそっと指を這わせる。
身体の奥で何かが高まり続けていた。
けれど彼女たちはペースを上げようとはしなかった。
むしろあと一歩で“放ってしまいそうな瞬間”を見抜いては、微妙に動きを抑え、再びじわりと揺さぶり直す――
それはまるで“出させない”ことで“出させる”という高度な駆け引きだった。
僕はもう声を出すこともできず、ただ息を漏らしながら、ふたりの女性の手の中で、全身を翻弄され続けていた。
僕の意志では何も進められず彼女たちの呼吸、締めつけ、動き――そのすべてに“導かれていく”。
彼女たちは今日も変わらず――いや、むしろ昨日以上に“丁寧に”、そして“強かに”僕をフィニッシュへと追い詰めていた。
葵さんの身体はまるで僕の反応をすべて見透かしているかのように、的確に、そして緩やかに動いていた。
彼女の腰が上下するたび僕の奥にやさしく熱が巻き起こり、そのたびに自分の意思ではどうしようもない“流れ”に飲み込まれていくような感覚があった。
それは暴力的な強制ではなかった。けれど拒むことも、逆らうこともできない圧倒的な“支配力”だった。
「ね、もう自分じゃ止められないでしょう?」
葵さんの声はいつもの穏やかなトーンを保ちながらも、芯のある確信に満ちていた。
彼女の言うとおりだった。
僕は今すでに自分の感覚を手放していて、呼吸も、体温も、反応も――すべて、彼女たちのペースに操られていた。
「大丈夫、ちゃんと全部コントロールしてるから。あなたがどうなっても、私たちがちゃんと最後まで導くからね」
そして、――僕の首を4の字で絞め続けている柚月さんも、声を添える。
「気持ちいいでしょう? 苦しいんじゃないの。これはね、意識を“ここ”に集中させるためのもの。
いま、あなたは私の太ももの中に“閉じ込められてる”。逃げられない、でも安心して任せられる場所」
喉元を支えるふくらはぎのしなやかさと、後頭部に密着するデリケートゾーンの熱。
内腿の挟む力は微妙に圧が増していて、ちょうど“あと数秒で息を止めなければいけない”というギリギリの状態を維持していた。
その絶妙な緊張感が僕の意識を一点に収束させる。
「ほら葵が今、“奥の奥”に届いてるの、感じるでしょう?」
「中がキュッてなってるの、わかるよね? あなたの大事なところをゆっくり、強く、絞り取るみたいに」
葵さんの中は本当にそうだった。
あたたかく濡れていて、それでいて内部がきゅっと締まり、ゆっくりと内側を擦るように螺旋状の圧を与えてくる。
まるで中から「搾り取る」ことに特化した器官のようだった。
「今日はあなたの“好きにしていい”って時間じゃないの。
全部わたしたちのタイミングで、わたしたちのやり方で、“強制射精”させる」
その言葉とともに葵さんは絞め上げながら腰を打つ付け、膣内で僕をチョークスリーパーする。
その動きには容赦がなく、けれど荒さもなかった。
一つひとつの所作が計算され尽くしていて快楽というよりも、“運命づけられた射出”のような確かさを持っていた。
「だからあなたは“搾り取られるため”にここにいるの」
僕の心のどこかがその言葉に屈した。
いや、もともと逆らう意思などなかったのかもしれない。
ただ彼女たちの言葉を聞いて“これは抗うべきものじゃないんだ”と、腑に落ちただけだった。
葵さんの動きがわずかにテンポを上げた。
腰がゆるやかにでも確実に上下し、内部がきゅっと締まりながら、僕の根元を吸い上げるように、内側から強く絡みついてくる。
「ほら……もう限界でしょう? ぜんぶ――中に出しなさい」
柚月さんの腰が持ち上がるのがわかる。
「ん…浮かせるやつ、キくでしょ」
存在を否定するような女の股の圧力に意識の端が白くぼやける。
そして葵さんが囁くように、最後の言葉をかけた。
「……いいよ。全部、わたしたちの中に“出して”!」
その瞬間、僕の奥から、抑えきれなかった命の奔流が噴き上がる。
「っっっ!!!」
激しさではなく、深さ。
痙攣が止まらない。
長く強く、搾り取られるようにして、僕のすべてが葵さんの奥へと注ぎ込まれていった。
「あつい…。いっぱいきてる…!」
彼女たちは最初から最後まで――
2人のペースで僕をフィニッシュへと導いた。
僕の身体の奥から最後の一滴までもが引き出されていく感覚は――圧倒的だった。
それは、単に「出す」とか「終わる」という言葉では到底言い表せない。
むしろ「抜ける」「奪われる」に近い。いや――もっと正確に言えば「搾り尽くされる」。
僕は今、まさにその渦中にいた。
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少男化の世界で僕は すみしら @sumishira
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