2話:明晰夢2

Dr.


「あれ!?むっつーが浮いてる!これは何事ぞ!?」


そう私を呼ぶ人物は一人しか知らない。

前を見る。

そこには私の友達、水中美憂が口を大きく開けたまま立っていた。

私は地面に降り立つ。

あれほど遠くに感じていた地面は思いのほか近かった。

高さにしてたった1mといったところか。

人間の思い込みというものは恐ろしいものである。


「やあ、みゆうちゃん、おはよう!今日はほんっとうにいい天気だね!」

「お、おはよう・・・。って!そんなことより!なんでむっつーは浮かんでたの!?」

「うーん、たぶん私、異能使えるようになっちゃったのかも」

「え!?異能って成人してからじゃないと使えないんじゃなかったの!?ちょっと早すぎない!?」


異能は成人でないと発現しない。

先生が言うには異能という力を使える器官?というものが育ちきっていないのだとか。

異能というのは、

人が耳を使って音を聞いたり、目を使ってものを見たりするように、人間の機能の一つとして成長する。

だが、人間という生物は異能がなくても生きていくことができる。

だからこそ、異能というものは人の体が成長しきってから発現する、というイメージを持っていたのだが・・・・・


「こりゃもしかしたら、これ以上背伸びないかもなー」

「160cmって、日本人女性の平均身長くらいあるんだから十分でしょ」


私が浮いていたという事実を受け入れ、落ち着きを取り戻した美憂ちゃんから指摘を受ける。


美憂ちゃんの身長は150cmあるかないか。

私が隣に立てばかなりの身長差があるだろう。


「なんかさー、むっつーが覚者になったとして、ほかにできることとかないの?

ほら!目からビーム出したり!」

「目からビームは出す人いないとおもうなぁー」


そう思いつつ、自分ができそうなことを想像してみる。


(あ、そういえば今日お母さんが手で目玉焼き作ってたなぁ)


今朝の母の姿を思い出して、手にイメージを送る。

そうすると小さな火が指先にポウっと灯った。


「うわあ!すごいよ!ねえねえ!これ熱くないの?」

「私は熱いとは感じないな、あ、でもみゆうちゃんは触ったらだめだからね。」


そう今にも火に触れそうな美憂ちゃんに忠告して腕を振る。

火はそれだけで消えてくれた。


「あー、消しちゃった・・・・。

それで、むっつーはこのことどうするの?」

「どうするって?」

「だってさ、むっつーの年で異能が使えるのって異例なわけじゃない?これって大人に相談したほうがいいよね?」


確かにそうだ。

もしかしたら体に何か異常が起こっているのかもしれない。

でも、


「いや、誰かに言うのはやめておくよ。なんかね、あんまりいい予感がしないんだよね。それに、こういう特別な力ってあんまし人に見せるもんじゃないでしょ?」

「むっつーがそういうなら、私もこのことを広めたりはしないよ。私たちだけの秘密だね!」

「・・・・ありがとう。」


少し、嘘をついた。

本当はこの異能をクラスメイトに自慢してやりたい。

自分はこんなことができるんだぞー、とか

私は君たちとは違うんだぞー、とか

でも、そんなことはできない。


だって、「主人公」ならそんなことはしないでしょ?


そのあとは美憂ちゃんと何気ない会話をして登校して、終わったら一人で下校した。

学校でも特に変わったことは起きなかったし、起こす必要もなかった。

家に帰ってからも特段何も変わらず、母がいて、父がいて、天使がいて、そんな幸せがあるなら異能なんてどうでもいい。

今日もこの幸せをかみしめながら眠りにつこう。

きっと明日もなんでもない日常が続くはずだ。



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Mo.


あの明晰夢を見た後、また別の夢を見た。

これは私の昔の記憶だ。

一番古い記憶。

私がまだ4歳のとき。


私はよく一緒に遊んでいた友達のことを思い出していた。

なんてことはない。

たまに公園であっておままごとをする、そんな友達。

男の子だったのか女の子だったのかそれはわからないけど、家族ごっこをしたのは覚えている。

ただそれだけ。


そしてその記憶は====に。

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空想ドリーマー みかる @mikaru71

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