1話:明晰夢

Re.


瞼を擦って目を開く。

体が重い。

枕に手をついて立ち上がろうとする。

手には湿った感覚。

私は昨日、泣いていたのだろうか?


時計を見ると9時を指していた。

それにしても部屋が暗い。

ああ、そういうことか。

私は昨日===========


これは悪い夢だ。

そう、目覚めてしまえばまた明日が始まる。

スマホなんか見たくない


だから私は瞼を閉じた。

この悪夢から覚めるために・・・・


------------------------------------------------------------------------------------------------


Dr.


いつも通り瞼を開ける。

無理やりにでも世界をこの目に焼き付けるようにあたりを見回す。


時計は6時を指していた。

だが目は驚くほどに冴えている。


なぜかはわからないけど、

急に家族の顔がみたくなって、パジャマのまま1階に降りる。


台所に母の姿を見つける。

母は手から火をだして、目玉焼きを作っていた。


「え?なんで手で目玉焼きなんかつくってるの?」

「あら、夢津。おはよう。今日は早いわねえ。

最近ガス代が高くってねえ。こうでもして節約しないと、出費が激しいのなんのって!こうして作れば火加減もうまく調整できるし一石二鳥でしょう?」

「母さん・・・・」


なんかさっきまでの陰鬱とした気持ちはどこかに吹っ飛んでしまった。


「もうちょいかしらねえ・・。よし!できた!

お母さん、今日は仕事早いから今から食べて行くけど、夢津はどうする?

一緒に食べる?」


いつもより早く起きた(いつもが遅い!)せいか、まだお腹は減っていない。

しかし、昨日一緒に朝食を食べられなかったことを思い出す。


「うーん、ちょっと早いけど食べようかな。今日は一緒に食べよう!」

「わかったわ。ならこの目玉焼きは夢津が食べて。私は新しいのを作るわ。」


パジャマから制服に着替え、雑談をしつつ、朝食をとる。

しばらくして、母は自分の分を食べ終えて、出勤した。

壁に取り付けられ時計を見る。

針は6時20分を指していた。

学校は平日は5時から開いている。


(少し、いや結構早いけど、うーん。たまにはこんな日もあっていいか)


そんなこんなで私は学校に登校した。


ちなみに目玉焼きは最高においしかったです。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


歩きながら空を見上げる。

今日は雲ひとつ見えない快晴で、空がいつもよりも近いような気がした。

ほんとに、なんとなくだけど、あの空をこの手で触ることができるような気がして、思わずその手を空に掲げる。

もっと高く、もっと高く。


空がさらに近くなる。


少し近くなりすぎたから怖くなって地面を見る。

地面は遠かった。


(え?え!?私、ウイテル?)


それはおかしかった。

人間が宙に浮けるはずがない。

そんなことは当たり前だ。

だが、


(いや、何もおかしいところなんて無い。これは私にとって普通なんだ)


そう、これは私の異能。

できて当たり前のこと。

ただ単に前まで知らなかっただけ。


このとき私は本当の意味で『覚醒者』となった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る