成長と影響

社会との関わり、成長と影響

事故から半年。エースは車椅子での生活に少しずつ慣れ、体力も精神力も着実に回復していた。部活の仲間との関係も安定し、チームに欠かせない存在として、戦略や声かけでサポートしている。

そんなある日、地域の少年野球教室に呼ばれた。事故前は自分がプレイヤーとして参加する側だったが、今は指導者としての立場だ。初めての経験に少し緊張する。

「こんにちは!今日はみんなと一緒に、野球の楽しさを学んでいこう!」

車椅子で校庭を動きながら、子どもたちにボールの投げ方や走塁のコツを教える。最初はぎこちなかった動作も、リハビリで培った腕力や操作の感覚でスムーズにこなせるようになった。

子どもたちの目は輝いていた。

「先生みたいになりたい!」

「もう一回投げて!」

その声に、事故で失ったものの大きさを思い出す一方で、今の自分だからこそ与えられる影響に胸が熱くなる。自分が動けないときでも、言葉や知恵、経験で人に力を与えられる――それが事故後に得た新しい価値だ。

彼女も教室に付き添い、子どもたちの世話やアドバイスを手伝う。休憩の合間に、彼女はそっと手を握って言った。

「あなた、すごく輝いてるよ。事故前よりずっと」

その言葉に、エースは笑みを返す。事故で壊れた身体は取り戻せないかもしれないが、社会との関わりを通して、自分の居場所を見つけ、未来に希望を描く力を手に入れたことを実感した。

さらに地域のイベントや学校行事でも、車椅子でできる活動を提案し、子どもたちや仲間たちに新しい可能性を示す。

• 学校では部活の戦略指導や後輩指導を継続。

• 地域では野球教室や体験イベントの講師として活躍。

• 恋愛関係も日常の中で自然に育ち、支え合いながら夢に向かう。

エースはふと夕日に照らされた校庭を見つめる。事故前の自分と比べると、身体は制限されているが、心はずっと自由だ。そして、支えてくれる人、応援してくれる人、関わるすべての人に力を与えられることの喜びを噛みしめる。

「これが、俺の新しい道なんだ」

事故が奪ったものは大きかったが、それ以上に得たものもまた確かだった。部活、恋愛、地域社会とのつながり――すべてが、彼を新しい自分へと導く光になったのだった。

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