鎌の行方――無敵の二人――
タピオカ転売屋
ハンドサイン
この作品は鎌の行方https://kakuyomu.jp/works/822139843296756124
の続編になります。
私とM岡君……もういいよね、光岡君は、一ヶ月にわたりハンドサインの特訓を行なった。
そのおかげで、30以上のハンドサインを習得した。
授業中に光岡君とハンドサインで会話したことを今になっても忘れずに覚えている。
光岡君はどうだろうか、覚えているだろうか。
行け、止まれといった基本的なものから、好きな人いんの?のような複雑なものまで……少し話を盛ったが、妙な連帯感があった。
そうなんだ。
鎌投げババアのことは、二人とも完全に忘れていた。
それよりも、「こういうハンドサイン考えたんだけど、どうだろう?」といったことに夢中になっていた。
ある日、新聞部の部長に呼び止められた。
「ねぇ、アレどうなった?」
「……アレ?」
「ほら、鎌投げババア」
「……ああぁ〜ねっ」
そうだった。
完全に目的を見失っていた。
給食の献立を聞くハンドサインなんか作っている場合じゃない。
そろそろ、鎌投げババアと決着をつけねばなるまい。
最後に立っているのは私か、ババアか。
ただ、不思議なことにババアと対峙する恐怖はあまりなかった。
たぶん、もう独りではないからだと思う。
早速、光岡君と作戦会議をハンドサインではなく、口頭で始める。
「あのさ、鎌投げババアのことなんだけど」
「……ああぁ〜ねっ」
デジャブかよ。
「そんで、今日の放課後に突撃取材に行こうと思うんよ」
「へぇ〜」
オメェも行くんだよ。
「いや、二人でだよ」
「なんで?オレ新聞部じゃないよ」
知ってるよ、キミはウサギ係だもんな。
「何のためにハンドサイン覚えたんだ?このためでしょうよ!」
「そうなの?」
おいっ!と言いかけたが、言葉が出なかった。
習得したハンドサインを思い出してみたが、役に立ちそうなものは見当たらなかった。
私たちは、一体何をしていたのだろうか。
「とにかくだ、今日の放課後に決行するぞ……忘れて帰るんじゃねぇぞ!」
「オッケー」
いよいよ運命の時、放課後がやってきた。
光岡君は、ちゃんと残っていた。
えらいぞ。
光岡君が期待を込めた目をしてこう言った。
「ねぇ、作戦は?」
「ないよ」
「……えっ」
「ないよ」
「ええっ!?」
だってさっき行くって決まったじゃん。
だから……ないよ。
「どうすんの?」
流石に光岡君も不安そうだ。
しかし、私には作戦はないが決断力はある。
「……中央突破だ」
二人の間に緊張が走る。
その静寂を破ったのは、光岡君であった。
「どういうこと?」
どういうこともこういうこともないでしょうが!
作戦がないんだから、真ん中ぶっこんでいくしかないでしょうが!!
「一人なら無謀なことかもしれない――だが、オレたちは二人だ」
「確かに」
光岡君がバカで助かった。
私たちは、ここに戻って来た、この原っぱに。
私は、光岡君に向かって右手を前に出す。
――行くぞ。
光岡君は、私に向かって指を二本出してを上にあげ、くるくると回す。
――今日はナポリタンだよ。
聞いてねぇよ。
鎌の行方――無敵の二人―― タピオカ転売屋 @fdaihyou
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