第7話 青山青葉バレエ学校で
それから数日後、すみれは優一と
両親にバレエの発表会を観てバレエをしたくなったことを伝えた。
そして、バレエの先生たちに認めてもらえたら、体操教室にもきちんと連絡して、正式にバレエに転向したいと言うと、父親も母親も驚くほどすんなりと理解を示してくれ、あっさり承諾してくれた。
体験レッスンの日、美紀と由香に案内してもらい。
ここがバレエを知らない者でも名前ぐらいは聞いたことがある名門青山青葉バレエ団・青山青葉バレエ学校かと、入り口に立って、もう一度、その建物を見上げた。
すみれはその荘厳さに胸が高鳴る思いがした。
美紀と由香が扉を開けて入る。
入ってすぐのところに学校の体育館ほどある大きな教室がある。
「おはようございます」
美紀と由香が挨拶して入る。
すみれと優一も
「おはようございます」
稽古場でストレッチをしていたたくさんの生徒たちが四人に挨拶する。
一人の女性がその教室の向こうの階段の方からやって来た。
「こんにちは、ここのバレエ団の
「おはようございます」
美紀と由香が背筋を伸ばして挨拶する。
「おはようございます」
すみれと優一も挨拶する。
「ありがとう。
「三階……」
美紀が緊張した様子で呟く。
すみれがどういうことなのだろうという表情で、
「三階がどうかしたの? というか、ここ三階まであるの?」
と聞くと由香がすみれに説明する。
「ここは一階がバレエ学校の生徒の稽古場、二階がバレエ団員の稽古場で、三階はプリンシパルの稽古場よ」
「プリンシパル?」
すみれが首を傾げる様にして聞く。
「主役級のバレリーナのことよ。三階は、そのプリンシパルしか立ち入れない稽古場よ」
「え?」
「すみれ、美鈴さん、ここのプリンシパルの方よ」
美鈴が微笑み、
「別にそんな怖いところじゃないわよ。
「え? 純華さんって、バレエ学校の生徒じゃなくて、バレエ団の主役級の方なんですか?」
「まあ、彼女はバレエ団員で特別な生徒だから」
「バレエ団員……」
美鈴について三階まで上がっていく。
三階についた瞬間、急に静かになった気がした。優一も周りを見回す。
美鈴が三階の稽古場の扉を開けた。
「どうぞ」
稽古場の前に数人のバレエ教師らしい人が椅子に座り、その横で純華が床に座ってストレッチをしている。
「おはようございます」「おはようございます」
すみれと優一が挨拶する。
稽古場にいた数人のダンサーたちがストレッチをしながら挨拶を返してくれた。
青葉がすみれと優一に近付いてきた。
「おはようございます。お稽古できる格好に着替えてください。今日はレオタードもないと思うから、運動のできる格好なら何でもいいですよ」
するとストレッチをしていた純華が、
「私、まだ使ってないレオタードを持ってるんです。これあげるから使って」
と言う。
「え? それはいくらなんでも」
「いいから」
と純華がバレエの稽古着一式をくれた。すみれが更衣室で着替えるとサイズはぴったりだった。
純華がやって来て、
「いいじゃない。鏡の前に座りなさい」
と言う。
すみれが言われるままに座ると純華が手際よく髪をシニヨンにしてくれた。
「じゃあ、ストレッチから始めましょう」
「え? 純華さんが先生なんですか?」
「なに?」
「いえ」
「私たちも見ているから」
青葉と美鈴が言った。
純華とすみれ、優一の三人でストレッチを始める。
体操の世界で「あなたほど体が柔らかい人は見たことがない」と言われ続けてきたすみれが純華の体の柔らかさに息を呑んだ。
すみれより遥かに柔らかい。優一が辛そうな表情でついてくる。
すみれもなんとか純華についていく。
「さすが、すみれさんね。優一君も男子にしては素晴らしいわ。次はバーレッスンをしましょう。私の通りにやってみて」
一通りバーレッスンを通した。
すみれはその柔軟性、筋力、そして卓越した体幹で、初めてのバーレッスンにもついていけた。
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