第4話 発表会が始まった 『海と真珠』

 青山青葉あおやまあおばバレエ学校の発表会。

 すみれが今まで見たことのない世界が広がった。


 ここのバレエ学校の発表会はバレエ学校の生徒たちが踊る。プロのバレエ団員たちが踊る公演ではない。

 すみれの目にもプロの踊りではないと分かった。きっとバレエ団の公演はこんなものではないだろうとも思った。


 それでも、バレエ学校の生徒たちの踊りは見ていて気持ちがいい。

 すみれが、ずっとやってきた体操とは違う世界だ。

 バレエの華やかさに心を奪われた訳ではなかった。何かもっと別の自分が本当にやりたいことがここにあるような気持ちになった。


 そんな中、美紀と由香の踊る順番が近付いてきた。


 二人は『海と真珠』という作品の中の女性が二人で踊るパートのみを踊るようだ。

 すみれは聞いたこともないバレエ作品だと思った。


 場内アナウンスが流れた。


「『海と真珠』 花總美紀はなふさみき来生由香きすぎゆか


 曲が流れ始め、二人が舞台の両袖りょうそでから小走りに登場した。

「あ」

 すみれは驚いた。

 この曲、聴いたことがある。

 バレエの曲だったんだ。


 なんて可愛らしい踊りなんだろう。


 これがバレエなのか、バレエはいつでもチュチュを着て踊るものだと思っていたが、この踊りはふわっとした可愛らしいスカートの衣装を着て踊っている。


 すみれは二人が踊っている姿を見ながら、無意識に涙がほほを流れていることに気が付いた。


 素敵、私は、これがしたいのかもしれない。


 そんな思いが募った。


 そして、この後、気持ちは一気にバレエに傾いていく。

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