第3話 青山青葉バレエ学校発表会

 すみれは優一を誘っても無理だろうと思い、優一に断られたら体操クラブの友達を誘って観に行こうと考えた。

 しかし、思いのほか、優一がバレエに興味を持ち、優一と行くことになった。


 当日、劇場にはバレエをやっているらしい美しく着飾った女の子たち、そして、育ちの良さそうな男子たちが、その両親と一緒に観に来ている。


 すみれは弟の優一とその辺に行くような恰好でやって来た。やって来て何か間違えた様な気がした。

 これでは本当に入り口で止められるのではないかと思ったが、もちろん、そんなことはなく普通に劇場に入れた。


 席に座ると周りの観客は、まるで毎年ここの発表会を観に来ているかのように、誰の踊りが楽しみだとか、昨年の誰の踊りは本当に素晴らしかった。誰々は海外のバレエ学校に留学したらしいとか、バレエ団に入団したそうだなどと話が聞こえてくる。


「昨年の純華じゅんかさんの踊りが忘れられないわ」

若菜わかなさんと二人で『海と真珠』踊ったわよね」


 純華じゅんか、そう言えば、美紀と由香が言っていた名前だ。入り口でもらったパンフレットを見てみると、発表会のプログラム、出演者たちの写真が載っている。


 美紀と由香は、先程、聞こえてきた『海と真珠』という踊りを二人で踊るらしい。

 そして、深山純華みやまじゅんかはキューピッドのヴァリエーションと載っている。


 すみれの後ろの席から声が聞こえてくる。

「純華さん、キューピッドだって」

「オーロラとかキトリを踊るんだと思ってた」

「グラン・パ・クラシックって噂もあったのよ」

「え、グランパ、そんなの踊れるんだ」


 すみれにはバレエの知識はなく、キューピッドもオーロラもよくわからない『グラン・パ・クラシック』と言われてもまったく分からなかった。

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