第17話 竜神狩り



 警戒区域の表示灯が、

赤く

点滅していた。


 都市外縁、

閉鎖された

物流拠点。


 荒神龍斗は、

夜霧の中で

足を止める。


 胸の奥が、

強く

鳴った。


「……来る」


     ◆


 直後、

照明が

一斉に点く。


 四方の屋根。

コンテナの上。

影。


 十数人。


 全員が

同じ装備。


 黒い強化服。

首元に

同一の紋章。


「――竜神狩り部隊」


 低い声が

拡声器から

響く。


「対象確認。

捕獲、

もしくは

排除」


     ◆


 躊躇はない。


 一斉射撃。


 魔力弾が

雨のように

降り注ぐ。


 龍斗は、

宝槍を

回転させ、

防御。


 蒼光が

壁となる。


 衝撃。


 足元が

削られる。


     ◆


 地上から、

重装兵が

突進。


 盾と

斧。


 正面突破。


 龍斗は、

踏み込み、

突き。


 だが、

盾が

受け止める。


「……対策済み、

か」


     ◆


 盾の表面が

脈打つ。


 魔力吸収。


 反動で、

龍斗の腕が

弾かれる。


 その隙。


 側面から

ワイヤー。


 足に

絡む。


「拘束!」


     ◆


 引き倒される。


 即座に、

複数の

槍が

突き下ろされる。


 龍斗は、

地面を

蹴り、

転がる。


 紙一重。


 コンクリートに

穴が

並ぶ。


     ◆


 立ち上がり、

一気に

距離を詰める。


 軽装兵。


 素早い。


 だが、

龍斗は

見切っていた。


 槍の柄で

顎。


 反転し、

背後の

兵へ

突き。


 装甲を

貫通。


     ◆


「……一人、

撃破」


 淡々とした

報告。


 感情がない。


 それが、

一番

厄介だった。


     ◆


 上空。


 浮遊型

魔導兵器。


 照準が

集束。


 龍斗は、

即座に

跳躍。


 空中で、

槍を

投げる。


 蒼い直線。


 命中。


 爆散。


 だが――

戻らない。


     ◆


 宝槍が、

空中で

反転。


 自動回帰。


 龍斗の手に

戻る。


「……竜神装備、

想定以上」


 部隊長の声。


     ◆


 次の瞬間、

地面が

光る。


 巨大な

魔法陣。


「封殺結界!」


 圧が、

一気に

重くなる。


 呼吸が

苦しい。


 竜の鼓動が、

暴れ出す。


     ◆


「……抑えるな」


 内なる声。


 だが、

龍斗は

歯を

食いしばる。


「……まだ、

制御する」


     ◆


 重装兵が

再突進。


 今度は

三方向。


 龍斗は、

結界の

圧を

無理やり

押し返し、

前へ。


 衝突。


 斧と

槍。


 火花。


 筋肉が

悲鳴を

上げる。


     ◆


 龍斗は、

一歩、

さらに

踏み込む。


 至近距離。


 柄で

盾を

跳ね上げ、

穂先を

隙間へ。


 装甲内部。


 破壊。


 兵が

崩れる。


     ◆


 だが、

数が

減らない。


 連携が

完成している。


 削られ、

押される。


 龍斗の

息が

荒くなる。


     ◆


「……限界だ」


 理性が

警告。


 次の瞬間、

龍斗は

宝槍を

地に突き立てた。


     ◆


 蒼光が

噴き上がる。


 竜の影が、

背後に

顕現。


 完全ではない。


 だが――

十分だ。


     ◆


「――解除、

一段階」


 結界が

悲鳴を

上げる。


 圧が

弾け、

兵が

吹き飛ぶ。


     ◆


 龍斗は、

疾走した。


 もはや、

人の速度では

ない。


 一突き。

一撃。


 確実に

無力化。


 血は

最小限。


 だが、

圧倒。


     ◆


「撤退!」


 部隊長の

命令。


 だが、

遅い。


 龍斗は、

最後の

重装兵の

前に立つ。


 視線が

交わる。


 恐怖。


「……今日は、

見逃す」


 突きは、

寸止め。


     ◆


 部隊が

退き、

夜霧が

戻る。


 結界が

消え、

静寂。


     ◆


 龍斗は、

膝を

ついた。


 宝槍が、

静かに

光を

収める。


 胸の奥で、

竜が

低く

笑った。


「……狩る側が、

狩られる

気分は

どうだ」


 龍斗は、

答えない。


     ◆


 立ち上がり、

夜空を見る。


 敵は、

本気だ。


 そして――

この力を、

完全に

制御しなければ

ならない。


 人として

生き続けるために。


 竜神狩りは、

始まったばかりだった。

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