評価されなかった魔法

道化蛙

第1話

僕が使える魔法は、レンガを作る魔法だけだ。

僕の作ったレンガは、僕が触れればキズが治り、形を変えることができる。

それだけの、地味な魔法。


本業では評価されなかった。

だから、副業としてレンガ職人を始めた。

最初は塀や井戸に使われるだけだったが、

続けていくうちに家や道にも使われるようになり、

数十年も経つ頃には、城にまで使われるようになっていた。


その城で、今夜はパーティが開かれていた。

魔王討伐20年を祝う宴だ。


広間には人が溢れている。

笑い声と音楽、酒の匂い。

平和そのものの光景だった。


――その時、扉が乱暴に開いた。


兵士が一人、息を切らして駆け込んでくる。


「魔王が復活しました!

隣町が、すでに破壊されています!」


ざわめきが広がる。

誰かが叫び、誰かが泣いた。


僕は静かにグラスを置き、立ち上がった。

これから忙しくなるな、とだけ思った。


城を出る前、ふと足を止める。

振り返り、壁に手を触れた。


レンガが、音もなく崩れ始める。

城は、自分がどう作られていたかを思い出すように、

ゆっくりと形を失っていった。


背後で悲鳴が上がる頃、僕はもう歩き出していた。


今度は評価されるかもしれない

そう思うと足取りも軽くなる。


いざ、目指すは魔王城

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評価されなかった魔法 道化蛙 @doukegaeru

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