第1話 14年前の出会い
家の目の前から何かが勢いよく走ってきた。家の玄関のドアから急に人が ぶつかってきたのだ。気がついた時には、俺の上に誰かが乗っていることに気がついた。残念ながら男だった。
「あぁ、悪い。今降りる。大丈夫か?」
と着ていたフードを外した。それが宮部颯来と俺の出会いだった。
「・・・なんで、、急に飛び出てきたんですか?」
俺は恐る恐る聞いてみた。
「あぁ、ごめん。いろいろあってな。この辺の学校かい?」
彼はニカッと笑いながら質問をしてきた。俺は、
「えっと、うん、沙山高校に通ってる。涼木蓮…っていいます。」
と答えた。
「そっか、俺、宮部颯来。俺もその学校だ!俺2年!何年生?」
と会話を広げてきた。
「俺も…2年…」
「そっか!!じゃあ今後会うかもね!よろしくね!」
と再び全力の笑顔を見せてきた。こんなやつが人に好かれるんだな、 と十六歳の俺が実感した瞬間だった。やっぱすごいな。けど、俺とはとてもだけど違う次元のやつなんだと思った。自分の心配より他人の心配は即座にし、キレ散らかしたりもしない。恐る恐る彼に目を合わせようと顔をあげたが、俺はつい、美人、と声が漏れそうになった。背はスッと高く、髪は綺麗にセンターわけにスタイルしてあり、キリッとした目に、スッと高い鼻、とても顔のパーツのバランスも良い。もし俺が芸能事務所の人なら、絶対声をかけている。もちろんそんな勇気も役職もあるわけがないのだけれども。俺はこの人とはもう一生関わらないだろうと思っていた。しかし次の日学校に行ってみると、そのイケメンが俺を探しまわっているという話を耳にした。どうせ同姓同名の誰かだろう、と俺は相手にしなかった。俺はいわゆる隠キャで、友達もいないため、学校が終われば飛ぶようにして家に帰っていた。俺はいつも通り帰りの会が終わったら速攻で帰ろうと正門をくぐろうとした時だった。声をかけられた。どうせ俺ではないと思いながら、スルーしていると、
「ねぇ、まってってば!」
と腕を掴まれた。俺は仕方がなく後ろを振り返り、顔を確認すると、昨日のイケメンだった。
「一緒に帰ろ?ねぇ、何組?部活は?」
と質問詰めをされた。人と話すことに慣れていない俺は、戸惑いながらも、一つずつ返していった。
「俺は、2組で、部活は帰宅部。」
「そっか、俺は4組!帰宅部か!俺もだ。俺もすぐ帰って塾とかだったりするし、部活入ってないから一緒に帰る人がいないのよ。」
と話していた。彼は懲りずに、次の日も次の日も教室の前で俺を待ち、いつのまにか一緒に帰ることが当たり前になっていた。それをきっかけに、青春時代の唯一の思い出は彼がいつも一緒だった。何度も何度も話をするたびに、俺は彼の前だけでは本音で話せる仲になった。彼の親は勉強に厳しいらしく、勉強するからという言い分で、よくカフェに行っていた。勉強することもあったけど、何時間も何時間も話が続き、話しただけで帰る日も多かったぐらいだ。颯来と言えば、カフェのイメージがあったのだ。今でも俺の目の前の紅茶と、彼の目の前にあるブラックコーヒーは今でも鮮明に覚えている。
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