第2話 颯来との再会と混乱
これはどういうこと?今俺の目の前には颯来が座っている。俺は漫画家を目指して、よく持ち込みをしている。最近では、メールでもやり取りができるのだが、俺は、電話でいつも予約をとっていた。原則、電話をピックアップしたスタッフが原稿を読むという仕組みだ。そんな俺は今日も持ち込みをしていたのだが、やっぱり駄目だった。こんな生活を始めてもうすでに七年だ。もちろん大学は出た。そこそこいいところではある。その後に、親はまともな会社で働きなさいと言われ、大喧嘩になったのだ。二対一の両親ヴァーサス俺では敵うわけもなく、結局会社に入ったのだ。それでも俺は諦められなくて、ちょこちょこ仕事を休みながら漫画を描いていた。それがなぜか両親にバレてしまい、再び大喧嘩になってしまった。もう成人もしている大の大人になっているというのにいつまでも“子供”として扱ってきて、俺の人生に頭を突っ込まないでほしい。そう思いながら討論を重ねたり、プレゼンをしてみたりしたものの、それはなかったかのように、ひたすら反対された。厳密にいえば、漫画家になりたいと伝えたあの高校生の日から反対されている。その時、こう言われた。
「漫画なんて遊びだ。ほんの一握りしかなれない。お前ではなれない。」
と。高校生の時の俺にはこの言葉は耐えられなかった。唯一見方でいてくれると思っていた、一番信じてきた人々にそう言われてしまっては誰でもそうなるだろう。しかし、そんなに前からこのように反対されてれば、今更意見なんて変えられないのだろう。今ならわかってしまう。理解もある。が、仕事をしている時に喧嘩したあの喧嘩のあとには、結局仕事を辞めているため、何も言えない。
俺は、小学校の頃から漫画に憧れ、絵を描き始めた。そのため、いつも一人ですぐに家に帰っていた。絵を描く時間を確保するために。ただ、友達に言われた。
「今日も遊べないの?は?絵を描くから?そんなことして楽しいか?そんなの保育園生の遊びだろ?お前はなれない。漫画家なんて。」
と言われてしまい、友達を失った。そんなやつは友達なんかではねぇということを今の俺は伝えてあげたい。その後中学に上がり、進路相談の時に、俺の夢のことを語ったら、先生にも言われた。
「何を考えてるんだ。将来漫画家志望なんて。いつまで夢を追っているんだ。いい加減目を覚ませ。お前に比べてお前の友達の颯来なんて、立派な成績で。ちょっとは見習ったらどうだ?」
と。学生時代の俺はいつも自分の部屋に閉じこもって絵や漫画を描く練習をしていた。そのせいか、成績もあまりよくはなかった。そんな日々を送っているうちに、卒業式が来てしまっていたのだ。卒業式では成績トップ者が毎年スピーチをすることが決まっていた。そのため、日本で一番の難関大学の峡東大学に進級が決まった颯来がスピーチをしていた。内容なんて全く覚えてもいない。けどその日喧嘩したのだけは覚えている。俺もなんで喧嘩したのか覚えてない。そのぐらいどうでもよかったのかもしれない。それ以来は会っていない。そんな颯来が俺の前に座っているのである。 高校の時のように、ただ今回はオフィスで、俺の前には紅茶、彼の前にはコーヒー。そして、俺に告げた。
「俺がお前を選んだのは、お前は俺が担当したほうがデビューしやすいと思ったんだよ。」
といつものようなむかつくほど綺麗で素敵な笑顔で笑いかけてきた。
「え?」
はい?思わず言葉が口から溢れてしまっていた。たしかに颯来は有名な作家や漫画家をデビューさせた経験がある。けどなぜ俺なんだ。なぜこんな出来損ないを救うんだ?もっといい人がいるだろ?
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