第9話 脱出

つながるWifiを探す。あった!

手を振れていないのにもかかわらず門がいきなり開き始める。


ギギギィ


「どういうこと?」

「んー、わかんないよ。」

「門開いた!角刈りの友!こっち来れる?」

「今は無理!こいつをなんとかしてから追いかける!先に行っとけ!」

「んー、あいつどれだけフラグを立てるんだよ・・・」


眼鏡の友と私は門をくぐり、駅のプラットホームに着いた。


ピンポンポロロン、ピンポンポロロン。0番線に「螟ゥ驕灘キウ蠑ァ」行き電車が到着します。


妙なアナウンスが流れる。駅名が聞き取れない。


「今から来る電車に乗ったら帰れるのかな」

「んー、どうだろうね。あ、そうだ壊れたスマホってどうなったの?ちょっと見せて」

私は手に持っていたスマホをベンチに置き、カバンをまさぐる。

『んー、大事なスマホを手放しちゃだめだよ。』

眼鏡の友が歩いてくる・・・。え?眼鏡が2つ・・・いや2人?

"今来た眼鏡の友"(以降、ニュー眼鏡)が、ベンチにおいたスマホをとろうとした"私と一緒にいた眼鏡の友"(以降、眼鏡の友)の手をはたき落とし、スマホを拾い上げる。

「え?なんで?眼鏡の友が2人!?」

ニュー眼鏡から渡されたスマホをしっかりと握りしめつつも、絶賛大混乱中だった。

『それは君のもの。なくしたら大変』


「おい、それは僕のもんだ。返せ」

眼鏡の友が憤る。と同時に頭の左側に角が見える。見間違いだろうか。

『いやいや、君のスマホは社殿の中にあるんだろう?嘘はいけないよ』

よく見ればニュー眼鏡にも角が見える。頭の右側に。


ピンポンポロロン、ピンポンポロロン、ピンポンポロロン。0番線に「螟ゥ驕灘キウ蠑ァ」行き電車が到着いたします。ご注意ください。


『さあ、電車がくるよ。君はこれに乗ってあちら側にお帰り』

「え?ちょっとまって、あなたは?眼鏡の友は?角刈りの友は??」

私が質問を投げかける。

『悪いようにはならないよ。』

「現世に戻るのは僕だけだ。そのスマホをよこせ!」

眼鏡の友がスマホを奪い取るべく私につかみかかろうとするが、ニュー眼鏡があっさり抑え込む。

『それは無理な注文だ。お前はここまでだよ。ヒト攫いのお役目ご苦労さん』


ピンポンポロロン、ピンポンポロロン、ピンポンポロロン。0番線に「螟ゥ驕灘キウ蠑ァ」行き電車が到着いたします。ご注意ください。

ヒュー、キキキキキキキキキキキ


暗がりと呼ぶのも足りないくらいの闇から電車がいきなり現われる。


キンコン、キンコン、キンコン、プシュー


ニュー眼鏡が、開いた扉に私を押し込む。

『じゃあ、またね』


私の意識はここで途切れた。

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