第2話 カラオケ

 メグミと僕、2人でカラオケに来ている。

 月に一回以上。多いと毎週のようにくることもある。


「次、これ歌います!」

「お、おう」


 メグミは自分の持ち歌もガチで歌う。

 めっちゃうまい。そりゃ本人の曲だものね。

 観客は僕一人。普段10万人を前にして歌うのとは違う特別なもの。


 僕はもっぱらアニソンだ。合成音声系やVTuberの曲なども歌うけれど、メインはアニメ化作品のOPやED。一番だけしか知らなくて、Cメロでなんだこれってなったりすることもある。

 メグミはニコニコして聞いてくれる。


「サトシ君は、へたっぴだけど、楽しいですもんね?」

「あ、うん」


 それからメグミは僕の好きな曲、これもアニメの曲が多いけどそれ以外もある。

 そういうピンポイントの曲を歌ってくれる。

 長年一緒にやってれば、僕がカラオケに入れたけど失敗した曲とか全部覚えてる。

 特に高音の必要な曲とか、僕が好きだけど自分で歌うのは難しい曲とかを選んで、聞かせてくれるんだ。


 二人だと、すぐ自分の番がくるので、けっこうきつい。

 たまにメグミが2曲続けて歌ってくれるので、そういうときに飲み物を持ってきたりする。

 あ、二人で一緒に一時席を空けて、一緒にドリンクコーナーへ行くこともある。


 まあ、これって二人っきりだし、なんだかいい雰囲気になっちゃうし、ぶっちゃけデートでは、と思わなくもない。

 メグミがどう思っているかは分からない。

 セーラー服のミニスカートは、なんだかいけないことをしているような気分になってくる。


 デュエット曲なんかも歌って、メグミがすぐ横にくっついてくるので、僕はタジタジだ。

 歌うときはいつもリードしてくれて、とても楽しい。


「サトシ君、サトシ君、またこようね?」

「ああ、そうだな」

「絶対だよ。もう。私、歌の練習しなきゃだもん」

「そうだったね」


 そう、これはVTuberの歌の練習なんだ。

 そう自分に言い聞かせるけれど、二人っきりという事実は変わらなかったりする。


 後日、この前カラオケで歌った中の曲が、VTuberの歌枠で歌われるなんてことも、よくあることだ。

 それを家のPCで視聴していると、なんだかカラオケを思い出して、こっぱずかしい。

 まるで、僕とメグミ、VTuber名「赤空トワ」の二人だけの秘密を覗かれているみたいな気分だ。

 全員に挨拶して、みんなに向けてメッセージを言ってるように見えるが、本当は僕だけに向けて呟いているのかもしれない、なんてね。

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