第4話……。


 パーティは、嬉しい。


 ヴィントと正式に組むこと。

 他にメンバーがいないこと。


 ……実質もう、あれです。


 ――違う。


 だめだ。

 今は、そういう考え方をする場面じゃない。


 まずい。


 私は、ギルドに登録するのが初めてだ。

 ゲームの時から、ギルドに属したことは一度もない。


 もし、ここで職業や能力値を確認されたら。

 もし、スキルの傾向を見られたら。


 プレイヤーだと、バレる。


 それに――私はネクロマンサーだ。


 この世界でも、きっと肩身は狭い。

 死を扱う職業は、好かれない。

 偏見も、警戒も、あるはずだ。


 そんなものを、彼に背負わせたくない。


 彼の汚点になるくらいなら、死んだ方がいい。

 ……本気で、そう思ってしまうくらいには。


「──べヴァといいます」


 名前を口にした瞬間、視線が集まる。


 職員の目。

 近くにいる冒険者たちの視線。

 値踏みするような、探るような空気。


 分かる。

 正直、私も同じ立場だったらやる。


 ヴィントがパーティを組んだと聞いたら、

 相手がどんな人間か、どこから来たのか、

 実家まで調べると思う。


 ……気持ちは、分かる。


 でも、私にはしないで欲しい。


「では、こちらに」


 職員の声に、身体がわずかに強張る。


 どうか。

 どうか、このまま終わってください。


 何も聞かずに。

 何も見ずに。

 ただ、手続きを済ませるだけで。


 祈るような気持ちで、私は一歩、前に進んだ。




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