第3話。


「ギルドに、パーティ登録をしよう」


 街を歩きながら、ふと思い出したように言うと、彼女は少しだけ目を見開いた。


「……登録、ですか?」


「うん。僕は前に済ませてあるけど、君はまだだろう?」


 一拍、間があった。


「初めてです。どんな感じなんですか?」


 その言い方は慎重で、でも逃げ腰ではない。

 単純に知らないだけ、という雰囲気だった。


「受付で名前を書いて、いくつか確認されるだけだよ。すぐ終わる。問題ないと思う」


 そう答えると、彼女は少し考えてから、ぽつりと言った。


「もし……私の力不足とかで、組めなかったらと思って……」


 なるほど、そういう不安か。


「あぁ、なるほど」


 思わず口に出る。

 彼女は強い。少なくとも、今まで一緒に動いてきて、それは分かっている。

 でも、本人がそう思っていないのなら、無理に否定する必要もない。


「とりあえず、行ってみようか」


 それだけ言うと、彼女は小さくうなずいた。


 ───


 冒険者ギルドに入ると、すぐに声を掛けられた。


「ヴィント様ですね……!

 当ギルドへお越しいただき、ありがとうございます」


 見慣れた反応だ。

 周囲の冒険者たちが、ちらりとこちらを見るのも、もう慣れている。


「今日は、パーティ登録をしに来たんだ」


 そう告げると、受付の職員は一瞬驚いた顔をしてから、すぐに仕事用の表情に戻った。


「承知しました。では……そちらの方は?」


「今、二人で旅をしている」


 視線が、彼女に向く。


 一瞬だけ、彼女の肩が強張ったのが分かった。


「よ、よろしくお願いします……!

 べヴァといいます」


 少しだけ声が上ずっている。

 緊張しているのが、はっきり分かる。


 ……初々しいな。


 そう思っただけで、特に気にすることもなく、隣に立つ。


「では、こちらへ」


 職員に促され、奥のカウンターへと案内された。




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