食堂

私の勤めているオフィスビルには社員食堂が入っている。


 弁当とかも持ち込んで食べている人もいるが大半は食堂利用している。

階が違くても利用できる、それが利点でもある。

私は毎日食堂で食事をしているため、常連である。

だが初めて食堂で鷹城さんを見かけた。


 なぜ、彼女がいると分かったのかというと

食券機よりも大きいからだ、彼女は食券機の前で腕を組んで何か悩んでいるように見えた。

(使い方が分からないとかかなぁ)

 私は、そう思いながら彼女を列の後ろから見守ることにした。


「……」

(カツ丼に、唐揚げ定食……鯖の味噌煮……日替わり定食……)

周りの女性社員を見ると日替わり定食やラーメン、うどんなどあまり量が多くはない料理を食べているようで。

初めて使う食堂でどれくらいの量が出るのか分からず、迷っていると、前に並んでいた男性社員がカツカレーを頼んでいた、それをみて私もカツカレーにしようと決めて、食券機に千円札を入れた。


 万が一のことも考えて、追加で白米も。

ルーとご飯の量が対等ではないことが多いのと私はルーがついたご飯が好きなのもあってだ。


 自分の番が来たので食券を出すと、おばちゃんから初めて見る顔だねとかカツカレー?結構量あるよ!ありゃ大きいねぇ、なら大丈夫かなどのお言葉をいただき、はいどーぞと渡されたのは大きな銀皿に山盛りに乗せられたご飯とカツカレー。

私はありがとうございますと頭を下げて、席を探す。

初めてなので勝手がわからない、この席取ってるのでとか言われたらどうしようとか思っている。


 見晴らしのいい窓側の席が空いていたので座ることにした、澄んだ青空を見ながらカツカレーを食べる。

たまには食堂を利用するのもいいかもと水を飲みながら考えた。


私の隣も空いているはずなのに、誰も来ないと思っていたが、ある1人の女性社員がこちらに向かってくる。


 「鷹城さんですよね?」「あ、はい」「前、郵便物届きに来た」郵便物を届けに来て逃げた女性社員だった。

(まさか、ここ座りたかったとか?)私は窓側の角の席に座っていたので退けようとしたが彼女は座ったままでいいですと。

座り直すと、彼女がまだちょっと怖がっているのが分かった。


 だが、彼女はこう言った。

「隣、座ってもいいですか?」

その問いに私はすぐに答えられず、しどろもどろな回答をしてしまった。

「ど、どうぞ」私が隣へ座るように促すと彼女の瞳が輝いていた。

「じゃあお隣、失礼します」ギッと椅子を引いて彼女は座る。

私はカツカレーを食べるのを再開した、隣の彼女も黙々と持参したお弁当なのだろうかそれを食べている。

彩り豊かで、ちゃんと計算して作っているのかなと思って彼女の弁当を見ていたが。

「……あの」「見られてると食べにくいよね、すいません」

気になって見てしまう癖が悪い事をしたと思っていたら、彼女が私の食べているカツカレーと追加の白米を見ていた。

「カツカレーと白米食べて、お昼眠くなりませんか?」「あ、これは……その…自分の中のルールというかご飯とルーの比率が平等じゃないと私、上手く食べられなくてちょっと追加でご飯を追加しただけで」

確かに、カツカレーを食べている男性社員は誰も追加で白米を頼んではいなかった。

やっぱりちょっと多すぎるかなと思いつつ、スプーンを口へ運ぶのが止まらない。


言い訳がましかったかなと思っていると、彼女が口を開いた。

「でも、羨ましいですお腹いっぱいご飯食べられるの」「そ、うですかね……」

早々に食べ終わった彼女は、じゃあこれでと私の隣を去っていった。


 郵便物届きに来た人としか認識していなかったけど名前聞きそびれたなぁと残りのカツカレーを胃に収める。

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鷹城という人 なつろろ @a0m_

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