鷹城という人
なつろろ
エレベーター
私の勤めている会社の人なのか分からないけれど、一際目立つ人がいる。
その人は背がとても高くていつもキリッとしている
どれくらい背が高いのかというとヒール込みで周りの女性社員の誰よりも頭二つくらいずば抜けている、男性社員より大きいから初めて見かけた時は目で追ってしまったくらいだ。
失礼かもしれないと思って、彼女を見かけてもあまり見ないようにしていた。
名前も知らない彼女と私がよく一緒になるのはオフィスビルのエレベーターだ。
色んな会社が入っているから、朝と昼に私は良く見かける。
会社も同じじゃなければフロアも多分同じではないから本当に背が高くて鋭い視線を持っていることくらいしか分からなくて毎日モヤモヤしている。
社員証を首から下げてるから見たら良いかと思ったが、あの人はいつもポケットに社員証を入れているらしく毎度毎度確認出来ない。
同僚に聞けば良いのかもしれないけれど、私しか気にしていないみたいで探りを入れているようで相手にも迷惑かなと毎日毎日考えている。
そんなある日の朝、私と気になるあの人は一緒のエレベーターに乗っていた。
朝のぎゅうぎゅうのエレベーターの中で私は周りの人に迷惑にならない程度に周りを見渡すと彼女は頭二つずば抜けているおかげかなんとも涼しげな顔をしている、9階、10階と二桁になっていくにつれどんどん社員がオフィスに吸われていくように降りていく。
14階、私が降りる階だ。降りるときにちらりとその人を見たら、目が合ったような気がした。
(目が……合っちゃった?)
見下ろすように私を一瞬見た気がする、でも確信は持てない、見たことのない表情をしていた気がする。
彼女のことが気になって自分のデスクに着いて座った
モヤモヤを晴らしたくて、隣にいた先輩に背が高くてちょっと怖い人について聞いてみた。
「先輩、同じビルで働いている背が高くてちょっと怖い人のお名前ってご存知ですか?」
「え、どうしたのいきなり……って
背が高くて怖いって多分17階の鷹城さんじゃないかな」
先輩は、私が出したキーワードを聞くや否や私が気になっている彼女は17階で働いている鷹城さんだよと教えてくれた。
鷹城さんは、17階にある法律系のオフィスの事務をしているらしい。
「でも、17階はまるっと法律系じゃないですか」
「そうなの、私も詳しくはないけれど結構大手にいるみたいよ」
それだけ教えてくれると先輩は早く仕事の準備をしなさいと私のことを急かした。
17階のオフィスかぁ……。私の会社は15階にあるので2階違いだ。
しかも法律系なら真反対というか天と地、月とスッポンくらいの違いがある。
背も高くて、頭もいいのかぁ……、仕事をしながら私は一日中鷹城さんについて考えてしまっていた。
それから、朝見かける度、エレベーターで同じになる度にどうしても目で追ってしまうようになってしまった。
声をかけたら迷惑かもしれないし、ただの事務が法律系事務の人に声をかけて玉砕するのも立ち直れないかもしれない……。
そう思うと中々、難しい上に2階違い、職務違いだと中々朝以降見かけることは難しいのだ。
はぁ……せめて、朝以外にも見かけたいし声をかけてみたいと思っていた矢先。
部長から17階へ郵便物を持っていってくれないかと頼まれて行くことに。
初めて17階へ行って、鷹城さんを探していると
「……あの」遥か上から低い声が聞こえた、見上げて振り返るとそこにいたのはまさに探していた彼女で、声をかけて少しお話しするチャンス!と思ったが。
いざ、と郵便物を差し出して彼女の顔を見ようと頑張ったが、鷹城さんの切れ長の鋭い目と身長の圧で私は怖気付いて、「ゆ、郵便物を届けに、はい……も、もう帰りますので」
と、鷹城さんが何かを言いかけていたが郵便物を手渡すと急いで自分のデスクに戻って、冷や汗をハンカチで拭いた。
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