第26話 隔てられた世界

週末、エドワードと妻のキャロラインが、エディに会いに来た——。


三人で楽しくランチをし、学内での話しを聞かせるエディ。

エドワードたちは、誇らし気だ。


「お小遣いは、足りてるの?」


心配そうに、キャロラインが聞く。


「なに言ってるの、十分過ぎる程、貰っているよ。」


少しお金を置いていくという夫妻に、エディはきっぱりと断った。


「本当に大丈夫だから。」


そう言い、二人を抱きしめた。


車で5時間かけて、来てくれた、

一泊せずに、ランチが済むと帰るという。


(飛行機代やホテル代を節約してるんだ)


夫妻からの小遣いだけでは、正直ぎりぎりだった。それでも、エディは絶対に口座のお金を引き出す事はしなかった。


夫妻を見送り、寮まで道すがら、

たまたまチラッと目に入った、ゴシップ新聞に、釘付けになる。

新聞を買うエディ。


ベンチに座り、記事を読む。


「ドックサイドの若き支配者!

多数の殺人容疑も全て無罪!

セント・クロウのボスの若き片腕は次期後継者か!」

ジャスパーの顔が写っていた。


「ジャスパー…」


(あの紙幣の束を見た時に、ギャングにでもなってしまったのかと思っていたけど、セント・クロウのボスって、確かニック・マッケンジャーだよね…本物のマフィアじゃないか…。

ジャスパー…ごめん、僕のせいだね…)


エディは何時間もベンチに座っていた——。


———


「ジャスパー、今週の上がりです。」

「ボス、今週分です。」


土曜日の午前中は、子分が次から次に、上納金を納めにくる。


「ああ、ご苦労だった。」


22歳とは思えない貫禄だ。

子分の大半は、ジャスパーより年上だが、皆ジャスパーを尊敬し忠誠を誓っていた。


しょうもない事でも、子分の誰かが困っていたり、揉め事に巻き込まれると、ジャスパーが直々に始末をつけたり、話しをつけるからだ。

例のジャスパーのやり口が、ここでも生きる。


スマートフォンが鳴る。


「はい、ボス。

わかりました。19時にラ・クールですね。」


今夜は、マッケンジャーとフランス料理だ。


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セント・クロウに眠る、三つの祈り 昇華 @shouka_desu

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