第25話 箱の中の真実

エディは、全額免除の条件付きで、東海岸の名門大学に進んだ——。


寮にも入る事ができ、他の大学生なら楽しい学生生活のスタートといったとこだろうが、

この大学の法学部に在籍する者に、そんな学生はいない。

既に競争が始まり、皆ライバルなのだから。


出発前、あの図書館で、ハドソンと話した内容を思い出す——。


「ハドソンさん、僕は、弁護士という仕事が分からなくなりました…」


「なんでだい?」


「僕は…弱い立場の人を守るのが弁護士なんだと、幼い頃からそう思っていました。


「思っていたが、違うと?」


「様々な判例集を見てきました。

とても…」


「エディ。」


ハドソンが穏やかに諭すように言う。


「それでいいんじゃないか?」


エディは、訳がわからないと、ハドソンを見た。


「君が感じる矛盾は間違っていない。

時には悪人側の弁護もしなければいけないだろう。でも10回のうちに2回でも3回でも、本当に弱く、救われるべき人、それは君の思う正義を立派に果たしている弁護士ではないかな?」


ハドソンは、懐かしそうな目をした。


「なにはともあれ、君はあの狭き門を勝ち取ったんだ。大いに学び大いに悩みなさい。」


優しい笑顔だった。


エディにはもうわかっていた。

ハドソンは弁護士だ。

ネットで検索なんていやらしい事はしなかった。ハドソン自身が話すまで。


寮のデスクの鍵付きの引き出しを開けた。


大学合格の知らせが届いた、翌日に家に訪れた男。


「おーい、エディ、友達っていう子が来てるぞ」


エドワードが呼ぶ。


二階から降りてきたエディは玄関に行く。


「ジャスパーからだ。」


箱を渡し、そう言い、男は去る。


「おや、もう帰ったのかい?」


エドワードの声が耳に入らない。


「エディ、」


「エディ!」


ハッとした。


「記念品かなんかを持ってきてくれたみたい」


エディは自分の部屋へと駆け上がる。


(ジャスパー?ジャスパー?

確かに、ジャスパーって言った!)


包装紙を破き、急いで箱を開けた。


中には、手紙と高級車が一台買える金額の紙幣が、綺麗に束ねられていた。


急いで、手紙を開く。


「エディ。名門大学入学おめでとう。

大学費用を準備していたが、さすがだな、無償奨学金を受給できるなんて。お前は、俺の誇りだ。大学費用の行き場がなくなってしまった、生活費に使ってほしい。

エドワードさん達は、お前を大切にしてくれたな。収入はそこそこいいようだが、でもお前の生活費を賄うのは少しだけきついだろう。

実入りのいいアルバイトが見つかった、とか。

賢いお前だ、うまく言って援助は丁重に断るんだ。

お前の本当の家族は俺だから。」


エディは全てを察した。

ずっと、ジャスパーは自分を見守っていてくれたんだと、ジャスパーは傍にいたんだと。

溢れた涙で、手紙が滲む。


——寮のデスク。


エディは、口座を作り、全額いれた。


「ジャスパー…ごめん。ごめん。…」


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