第24話 小さく折られた手紙
渡されたスコッチを一気に飲み干した、あの夜から二年が過ぎた——。
ドックサイドは、今では22歳のボスが仕切っている。
———
リリーは、あの夜から二年間、精神科医の元を訪れる以外、殆ど部屋から出なくなっていた。
あの夜自分の部屋に行くと、直ぐにスマートフォンで調べた。
(ジャスパーが一緒にいた人…周りの人がマッケンジャーさんって呼んでた…)
「マッケンジャー セント・クロウ」と検索しただけで山程記事が出てきた。
「セント・クロウの支配者」
「ニック・マッケンジャー氏に殺人容疑」
「敵対組織、爆撃で壊滅か!」
「市に莫大な寄付!市長、黒い疑惑」
この時、15歳だった、リリーにもわかった。
——現在。
一日たりとも、ジャスパーとエディを思わない日はなかった。8歳だったあの時から。
(ジャスパー、危険な世界で生きているんだね。
でも…ジャスパーが生きていくには、それしかなかったんだよね…)
涙を拭き、リビングに降りた。
一カ月振りの登校だった。
ジェシカが必ず送り迎えをする。
「いってらっしゃい。また帰りに来るからね。」
ジェシカ夫妻は、リリーを実の子のように愛した。
「いってきます。」
横付けされた、ジェシカの車から降り、校門までの僅かな距離。
校門に向かう、リリーの前を女が通り過ぎる。
女とリリーが交差した、その時、
「ジャスパーから。」
小声でそう囁き、小さく折られた紙を渡してきた。
「あ、」
リリーが言いかけたが、
女は、そのまま通り過ぎていく。
(動悸が…頓服を飲まなきゃ…)
リリーは、その場でタンブラーから水を口に含み薬を飲んだ。
薬が効いてくるまでは15分ほどかかる。
でも、動悸が落ち着くのを待っていられない。
校門の手前にある花壇に座った。
震える指で、でも急いで折られた紙を開く。
「リリー。いつも必ず見守っている。
いつか会いにいく。その日まで、どうか心安らかに過ごしてほしい。」
「あ…あっ…」
小さな声で泣いた。
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