だみっぽ

つとむュー

第1話 痴漢って最低

「ねえ、渚沙」

「ん? なに?」


 高校の昼休み。

 陽当たりのよい屋上で一緒に弁当を食べる友人の渚沙に、私は尋ねる。


「最近テレビのニュースで、受験シーズンになると痴漢が増えるって言ってるけど、それってなんで?」


 すると渚沙は「そんなことも知らないの?」とショートカットの髪をなびかせながら軽くさげずむ視線をメガネ越しに向けてくる。そんな渚沙のクールビューティさが私は好きなんだ。


「逆に聞くけど、真美が電車で痴漢に遭ったらどうする?」


 えっ、痴漢に?

 幸い私はそんな目に遭ったことはないけど、もし遭ったらどうしよう?

 とりあえず勇気と腕力があれば、の話をしておく。


「もちろん捕まえて警察に突き出す」

「じゃあ、その日が受験の当日だったら?」


 ——その日が受験の当日だったら?

 もしそうなら条件が全く変わってくる。


「当日だったら……、警察に……なんて突き出してたら試験に遅れちゃう」

「そう。だから泣き寝入りするしかない」


 ま、まさか、そんな理由だったとは。

 試験に臨む受験生の弱みにつけこむなんてめっちゃ卑怯な。人間のすることじゃない。


「許せない!」

「最低だよね」


 なにか対策方法は無いものだろうか?

 テレビでは「周囲のみんなで防止しましょう」って言ってるけど。

 試験に遅れても救済してくれるところもあるみたい。


「なんかいい手はないのかな?」

「あるよ。私なりの、だけどね」

「ええっ、あるの?」


 渚沙がメガネの奥からキラリと瞳を輝かせた。



《つづく》

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