第5話 4日目

 ピンポーン


 まただ。


 美咲はうんざりした気分になっていた。


 今日は疲れて、起き上がる気になれない。無視無視!


 そう思って薄目を開けた。


「コウちゃん?」


 隣で寝ているはずの、浩平の姿がなかった。ベッドはさっきまでいたような気配はあるが、浩平はいない。


「コウちゃん?!」


 美咲は声をかけてみた。返事はない。


 まさか…


 急いでリビングに行くと、椅子に乗った浩平がインターホンの前に立っていた。


「ママ。誰か来たみたい。パパかな?」


「コウちゃん、ダメ!」


 浩平がインターホンの「解錠」ボタンを押していた。


 インターホンから、オートロックのドアが開く音が聞こえてきた。


「コウちゃん、勝手に開けちゃだめでしょ!」


 美咲は浩平を椅子からおろした。


 ピンポーン


 今度の音は、今までとは違った。


 このマンションのセキュリティは厳重だ。エントランスを抜けた後、エレベーターホールで部屋番号を押し、住人が許可した場合だけエレベーターに乗れる。


 つまり、奴は今エレベーターホールにいる。


 私は浩平を抱きしめて、その場にうずくまった。


 大丈夫。


 エレベーターを解錠しなければ、上がって来られない。


 大丈夫。


 大丈夫。


 大丈夫…


 <つづく>


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