ツーリングの醍醐味がギュッと詰まっています。

『風の記憶』、読み終わったあとに「はぁ……バイクっていいな〜」ってなる短編でした。

女子大生のタマキが、愛車のドゥカティ・スクランブラーで箱根から伊豆へソロツーリング。目的は、うな重と絶景、そして身体が覚えている“風”になるため。

走っている描写がとにかく気持ちいい。エンジンの鼓動、風の冷たさ、アクセルを開けた瞬間の高揚感が、文章なのに肌に当たってくる感じで、読んでるだけで走ってる気分になります。
そこに「食欲との戦い」まで乗ってくるので、ズルいです!

そして、ただの“ゆるふわ旅”で終わらず、古傷や過去と向き合いながら走るタマキが、風に背中を押されていく感じが切なくて、でもちゃんと前向きで。読み味は軽いのに、最後に良かったなーって思う余韻があります。

ツーリング好きはもちろん、バイクに乗らない人でも「旅の空気」を浴びたい人におすすめの一作でです。