第4話 カゲロウの決意と再誕

 そしてカゲロウは街から影の脅威を取り除くために食べることをやめ、自分の中へそっと抱きしめることを選びました。

 カゲロウはシャボン玉のように静かに、空の向こうへふわりと溶けるように消えてしまいました。


 その瞬間、世界は彼の名前を、そっと忘れてしまったのです。


 黒い霧の脅威はなくなりましたが、同時にいなくなってしまったカゲロウを覚えている人もいなくなりました。

 でも子どもたちの心にはしっかりとカゲロウの痕跡が残っていました。


 再び霧の脅威に見舞われたときに、子どもたちはカゲロウのことを思い出しました。子どもたちの願いがカゲロウに届き再び現世に生まれました。


 そして心の闇を認め取り込むことで明日への一歩を踏み出した子どもたちを見守ることにしました。


 かつての彼は、風が吹けば消えそうな陽炎(かげろう)でした。

 けれど今の彼は、強い光に照らされても薄れることはありません。


 黄金のぬくもりと、銀色の静寂。その両方を編み込んで作った、新しい光の衣を纏っているようでした。

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