第4話
『これで接触通信が出来ます。ゴーゴーエイダゴー』
『楽しそうで何より。仲間の動向は?』
『遠藤さんが長期潜伏スパイだったみたいです。あのアクセサリーが内部からネットワークをジャミングする機械だったようでして。ちなみに処刑されています』
『……そのほかは』
『逃亡には成功しています。大腸で会おうとのことです』
『大腸ね、わかった。市街の状況は?』
『ネットワークから切断しているのでなんともかんとも』
ふーん、そっか。
ふと見ると、私のおなかの中に配置されているVECちゃんが赤い赤外線を一方方向に向けているではないか。
『VECがなにかに反応しているね。ここ真っ暗で人もいないみたいだし、行ってみよっか』
『あいあい、周辺サーチ開始しまーす!』
ギコギコいいながら溶鉱炉とは逆の、ガラクタ置き場へと進む。
ガラクタばかりだけど……。
『ああ、超効率エンジンだ。古いけど。これをどうするの?』
ふるふると振るえるVEC。ピョンと勝手に飛び出ていく。
ものの数分で全てを食べ尽くしたVECは
『美味しかった?』
すると、答えかどうか知らないけど、素体に潤滑油と黒い塗料が塗られたのだ。
『なにこれ、こんな機能持ってたっけ?』
おなかの中で上下に動くVEC。あったらしい。
『まあいいや、これで闇夜を忍びながら行動できるよ』
『行き先はどこなんですかー? JUDGE本部は警察によって封鎖されてますよ』
『イレオストミー。ストーマさんのお店だよ』
潤滑油によって動きがヌルヌルし音を立てなくなった私。小走りで市街地を駆け巡る。
「測位衛星システムにも接続していないから完全に地図を使っているのですけど、ここがどこだかわかりませんねえ」
『カート、今の位置でJUDGE本部がこの角度で見えて北の星が午後九時でこういう風に見えた場合の現在位置は』
「こっこでーす」
『となると大腸は、この位置か。一気に走っちゃおう。こう行けば抜け道っぽい道を使ってたどり着ける。カート、口閉じてなよ』
『はーわぁぁぁぁぁ! なんてそくどぉぉぉ!』
闇夜を走る黒い骸骨という都市伝説が生まれたとか。そっかー。
『ついた。カート、中にはいって説明してきて』
『了解です! ふんすふんす』
ぴょんと頭から飛び降りて、ドアに手が届かなくて、涙目でこちらを見るカート。かっわいいなあ。
ドアだけ開けて、外でカートの説明を待とうと思ったら加藤事務次長がいの一番にドアの外に流れ込んできた。
「無事だったかエイダ!! 良かった、本当に良かった……」
中村主計官が話を続ける。
「こんな身体になってしまって。復旧には莫大な予算を計上しますからご安心なく。国一つ潰すくらいの金は国から出してやりますから!」
オペレーター清水さんがキラキラの目で話しかける。
「私の機転でカートをダストシュートに入れたんです! 外に出たカートはビルディングパーフェクトシステムダウンを仕掛けて、そのまま私達は脱出ポッドに乗ったんです!」
皆良くやった。
握手をしてまわる。
あれ、トメさんは?
「トメさんは現場に残った。この歳じゃ追いつけないといってな。ただ、殺すような真似はしないはずだ、相手の目的にもよるが」
「おうおう、俺の店の前で話されても困るな。まずはなかに入りな」
「ストーマさん、よろしくお願いします」
「ウチでずっと潜伏できるなら高品質なのも装着できるが、そうも言ってられねえだろ。まずは人を作る」
まずは最小限の人にして貰った。
あとは重火器を。
自分でもびっくりしたけど、骨格の出力がかなりあるんだよね、この素体。
「お嬢様、改造中に申し訳ありません。推定ボスのエネルギーの種類が判明しました」
「パンツはいてからでいい?」
「はきながらお聞きください。対消滅エンジンのエネルギーを観測しました」
「軍が研究してる最新エンジンじゃん。なんで宇都宮に?」
「恐らくお嬢様との対決を望んだ物かと」
「場所は」
「JUDGE本部の屋上です。誘っていますね」
人になった私は顔をパンパンっとして一息つく。肺があるって幸せ。
「カート、行くぞ」
「はい、お嬢様」
「あ、あの!」
「どうした清水ちゃん」
「ギリギリまでバレないように私が運転します!」
「ギリギリじゃなくてギリまではお願いする。頼むよ」
VISEが上空を疾走する。
「急降下かけます! 屋上に物理障壁を確認!」
「突っ込む。全砲弾をぶちまけてから清水ちゃんは帰って」
「了解、ご武運を!」
ばーかみたいな量の砲弾がVISEから放たれる。それによって物理障壁は展開を維持することが出来なくなり、発生装置ごと爆散した。
屋上へと着地していきなり足の筋が切れた。間に合わせだもんなあ。
カートはパラシュート降下できたようだ。
「さてと、どこかのホストクラブにいそうな君、さっさと倒して平穏を得させてもらうよ」
「倒す、ねえ。重機3台も対処できなかったくせに?」
髪をかき上げる金髪野郎。
「今回はいないよねえ」
「その分ハックに回せるんだよ、既にシステムダウンを流していることもわからんだろうな。ばいばーい」
髪をかき上げる金髪野郎。
うぜぇな。
「……で、なにがどうだって? 私の回路は前の戦闘で壊されちゃってるんだけどな」
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