あとがき

本作を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


 愛媛県で育った私にとって、足立重信は郷土史等で馴染みある名前でした。しかし執筆にあたり改めて重信川を調べた際、かつての猛威や加藤嘉明公の転封てんぽうといった「故郷の知らない断片」が次々と繋がり、私自身が最も多くの発見を得る機会となりました。


 おじさん(重信)が名を明かさない描写は、当時の避諱ひきの風習を反映させたものです。また、シーン区切りの「◎」には、測量の中心点記号と嘉明公の家紋「蛇の目紋じゃのめもん」の二重の意味を込めました。かつての旗印が、現代の大地を測る起点となっている――その重なりに、時代を超えて受け継がれる「線」の意志を託しています。


 伊予川の流路は諸説ありますが、本作では象徴性を重視し、森松から松前駅付近まで東から西へ一直線に貫くルートを採用しました。


 本作が、身近な地名や郷土の偉人へ目を向ける小さなきっかけになれば幸いです。


 最後に、参照させていただいた愛媛県史、および国土交通省重信川史の諸資料に、深い敬意を表します。


■ 設定補足

松前(まさき): 加藤嘉明の松山城移転前の拠点。現在は松前町として「まさき」の音が受け継がれている。


ステッドラー 芯ホルダー: 一九七九年当時の現場を象徴するプロツールとして採用。


結束バンド: 一九五八年発明。一九七〇年代後半に現場普及が進んだという設定に基づく。


■ 参照資料

松前町公式HP

松山城公式サイト

愛媛県資料『川に名を残した男』

国土交通省『重信川水系河川整備計画』

愛媛生涯学習センター『データベース えひめの記憶』

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重信の線、令和の空 ―伊予・重信川を鎮めた足立重信と、少女の継承物語― @DarthTail

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