あともう1枚。
白川 優雨 (しらかわ ゆう)
あともう1枚。
彼は先に行った。あとからついて行こうと思い、トイレに駆け込んだ。心臓は跳ねていてうるさい。髪も乱れている。ポーチから櫛を取り出してとく。もう一度とく。
心臓は未だにうるさい。アレがまだ余韻を引いている。なんだってあんなに急なんだ。仕方がないから落ち着くまで個室にこもった。ポーチには手鏡もある。それを取って開く。林檎のような顔をした女が、キョロキョロとしている。みっともない。まだ上着は着たままだった。
どうにも収まりそうにない。彼を待たせている。個室から出て手を洗った。手から落ちる雫がぽたぽたぽたと垂れていく。ハンカチで拭う。すぐに手は乾いた。
おまたせと声を掛ける。宙を幾度か泳いでから、袖に手を伸ばした。彼がニヤニヤと笑う。やっぱり心臓はうるさい。まだ布1枚。アレは皮1枚。唇には、まだ体温が残っていた。返事は明日にしてやろう。
あぁ、あつい。
あともう1枚。 白川 優雨 (しらかわ ゆう) @Syafukasu
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