第五話 三人でいる、ということ
ソファの真ん中に座るのが、いつから当たり前になったんだろう。
右にレオ、左に蒼。
気づけば私は、二人に挟まれる位置を自然に選ぶようになっていた。
「……狭くない?」
蒼が、私の肩越しにレオを見て言う。
その言い方は、執事みたいに丁寧でも、よそよそしくもない。
「狭いなら離れれば?」
レオはそう言いながら、腕を引く。
もちろん、私を離す気なんて最初からない。
「ちょ、ちょっと待って。私の意思は?」
「あるなら言えばいい」
「言わないからこうなる」
二人とも、私を見る目は同じだ。
独占欲を隠そうともしない、真っ直ぐな視線。
——でも、争っているわけじゃない。
レオは強引で、距離が近い。
触れることをためらわないし、感情をそのままぶつけてくる。
一方の蒼は、一歩引いているようで、ちゃんとここにいる。
私が困る前に気づいて、私が言葉にできないところを拾う。
どちらかを選べと言われたら、きっと答えられない。
でも、どちらかが欠ける想像もできなかった。
「……変だよね、私たち」
ぽつりと呟くと、二人は同時に息を吐いた。
「今さら?」
「今さらだな」
レオが笑って、私の髪に顔を埋める。
蒼は小さく肩をすくめて、でも視線は逸らさない。
「名前はどうあれ、俺たちはここにいる」
「アキが真ん中。それでいい」
そう言われて、胸の奥がじんわり熱くなる。
恋人、でもない。
家族、と言い切るには少し違う。
でも確かに、
私は二人に選ばれていて、
二人は私を手放す気がない。
「……じゃあさ」
私は二人の腕に、そっと触れた。
「今日は、このままでいよ」
答えは聞かなくてもわかっていた。
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