おもらし+見られるが、条件でした
川上くんの鑑定士スキルは便利だ。
鑑定ついでにこの世界の一般的なことが頭に入っているみたい。
おかげであたしは、川上くんの解説を聞きながら、旅行気分で異世界の街を歩いた。尿意もなくなったので気分は少し浮かれていた。
だがしかし。
薬屋で売ったポーションは、川上くんの予想を大きく下回る200ゴールドにしかならなかった。
「ごめん。思ったより安くなった」
仕方ない。
ゴミ箱から拾った空き瓶に入れただけの物。汚れているし蓋もない。盗品や偽物とされずに、お金になるだけでも有難い。しかも2万円だ。
「とりあえずこれだけあれば、今日泊まる場所は確保できる。薬屋で綺麗な空き瓶は貰えたし、あとでもう一度試してみよう」
「……出したばかりなんだけど」
時間は向こうとリンクしているみたいで、こっちでも夕方。
無事、食事つきで泊まれる宿も見つかった。もちろん部屋は別だ。
けどゆっくり休む前に、まずは――
「じゃあこれにお願い」
「う、うん」
心もとない資金を確保するため、あたしは小瓶を手に、宿のトイレに入った。
この世界のトイレも、元の世界とあまり変わらない。洋式で水洗っぽい。トイレットペーパーもある。
あたしは便座に座り、いつものようにおしっこし、小瓶に採取する。
釈然としないけど異世界の生活のため。検尿だと思えば大丈夫。
「……これが、ポーション?」
どう見ても、あたしのおしっこなんだけど……
小瓶を手に、トイレを出て川上くんの元に行く。
川上くんはきょとんとした顔をした。
「美崎、それは……?」
「え、これは……おし――じゃなくて、ポ、ポーション……」
「うーん。でも……」
川上くんがじぃっと小瓶を見る。鑑定スキルを使っているのだろう。
けど表情はどこか戸惑った感じ。
「あのときは、明らかに『高レア』って分かるほどだったんだけど、これはただの液体というか……」
「……もしかして、ポーションの効果、ないの?」
「うん。えっと……少女の小用。効果、特になし。一部の好事家には大人気――売値は」
「捨てるね。これ」
「えっ、ちょ、ちょっと」
あたしはすたすたとトイレに入って、小瓶の中身を捨てた。
一部の好事家とやらに売る気はない。
「でも……どうして」
あのポーションは、確かにあたしのおしっこだった。
それが、川上くんの怪我を治し、ここに泊まれるくらいの価格で売れた。
同じおしっこなのに、どういう原理なのだろう。
「とりあえず、一階で食事しながら考えよう」
「うん……食事しながらしたい話題じゃないけどね」
お腹は空いたので、仕方なくうなずいた。
「――美味しいっ」
異世界の料理ってスパイスが効いたイメージだったけど、素材の味が強調されているっぽい。といっても何のお肉か何のソースか分からないけど、美味しい。よく分からない、まさに異世界の味。
そんな感じで食事を楽しんでいるあたしを見て、川上くんが笑った。
「良かった。美崎が楽しそうで。勢いで連れて来て、悪いことしたって思ってたから」
「そんな。あたしは来たかったからついてきただけ。むしろ川上くんの方こそ、あたしが一緒で迷惑だったかもしれないけど……」
「いや、そんなことないって!」
お互いが気を遣っていたみたい。
「でもあたしは未練はなかったけど川上くんは大丈夫なの? ご家族とか」
「それは大丈夫。家族には常々、俺が急にいなくなったら異世界にいったと思ってくれ、って言っておいたから」
「それでいいの?」
まぁ、本人が納得しているのならいいか。
「というわけで俺もここに来てすごく感動している。でもここを堪能するためには、まず生活を安定させたい。もちろんずっと頼るわけにはいかないけど、まずは美崎の力が必要なんだ」
「うん。大丈夫。あたしも、川上くんの鑑定スキルやこの世界の知識がないと、何もできないから」
持ちつもたれずの関係だ。
というわけで、食事中ながら――おしっこの話になった。
「美崎の……えっと、なんて言えばいいかな。黄金水? それとも」
「……おしっこ、でいい」
恥ずかしいけど、変に隠語にされるのは、もっとやだ。
「じゃあそのおしっこだけど、一回目と違って二回目はポーションにならなかった。何か違いがあるはずだ。考えたんだけど、もしかするとそれは――おしっこが体内にとどまっていた時間なんじゃないかな?」
「あっ、なるほど」
確かに聖女の内なる力で精製されているのなら、長いほうがよさそうだ。
実際、おもらししちゃったときは、朝からトイレにいってなかった。
「そこで、明日の朝いちばんでお願いできるかな。就寝時間も含めればかなりの時間になるし、美崎の身体的負担も少ないだろうから」
そう言って、川上くんが小瓶をあたしに渡した。
――まだ食事中だけどね。
明日の朝の時間を確認して、あたしと川上くんはそれぞれ部屋に入った。
ちなみに時間は元の世界と同じ24時間。そういうものなのだろう。
ホテルなんて泊まったこと無いけど、異世界の宿も、そのイメージに近い。
机にベッド。清潔なトイレもちゃんとあって、お風呂シャワーもある。それから――
と興奮気味に探索してたけど。
やっぱり疲れがあったのか、ぽすん、と制服姿のまま白いベッドの上に倒れ込んでごろごろ寝転がっているうちに、眠りについてしまった。
せっかくの異世界初日だというのに、寝落ちしてしまった。
いつの間にか明るくなっている窓を見て後悔しつつも、異世界の出来事が夢じゃなく、今もこの世界にとどまっていることに、ほっとした。
時計を見る。約束の時間はまだ先だ。
シャワーを浴びる時間もありそうだけど、まずは……
「それじゃ――やってみますか」
小瓶を手にとって、トイレに入った。検尿のお時間である。
昨日もしたので慣れたもので――無事採取成功っと。
昨日のよりもちょっと黄色っぽい。鑑定しないとポーションかどうか分からないけど、効果ありそうな気がした。
「ただのおしっこだね」
「ごめん。捨てるね!」
あたしはぱっと小瓶を奪い取ると、中の液体をトイレに捨てた。
結果はあえなく失敗。あたしはまたしても、ただのおしっこを川上くんに見られるという羞恥プレイを受けた。
けど川上くんは意識した様子もなく、次を考えていた。
「時間は関係なかった。となると別の条件があるはず、例えば……我慢とか」
「がまん?」
「我慢って身体に力を入れるよね。魔力をこめているのに似てるかなって」
なるほど。寝ている間に勝手に精製されるのではなく、我慢という過程が必要ということか。確かに最初のときは、お漏らししちゃったくらいだから、すんごく我慢してたし。
「というわけで、今日はトイレに行くのはしばらく我慢してもらえるかな」
「う、うん」
宿は今夜の分も予約支払い済みだけど、屋内で時間を潰すのももったいないので、朝食後、川上くんと異世界の町並みを見て回ることにした。
小説や漫画で異世界に憧れていたし、あっちでは旅行も満足に行けなかったので、ただ歩いて回るだけでも楽しい。ただ――
「ねぇ、あの焼き肉、美味しそう」
「うん。でもお金ないから」
「えっと、そろそろおしっこが……」
「うん。じゃあ、もう少し我慢してみよう」
「……おに」
とまぁそんなことしつつ、お昼にラーメンっぽいものを食べて、さらにしばらくたって、ようやくOKがでたので、公衆トイレに駆け込んだ。
そして結果は――
「おおっ、ポーションだ」
「えっ? やったっ」
それなりにぎりぎりの状態で採取したおしっこが、川上くんに認められた。
てか、本当におしっこがポーションになるんだ。自分でもびっくり。
確かに、採取したときは黄色っぽかったのが、透明でとろみがあるものになっている。
「でもこれは、ただのポーション。ハイポーションじゃないね」
「それって、どう違うの」
「平たく言えば効果と価格の差かな。あと、ポーションにも種類あるけど、これは傷を治すというより、飲んで体力を回復するタイプ」
へぇ、栄養ドリンクみたいな感じかな――ってっ?
「ええっ、こ、これ、飲むのっ?」
「うん」
「いやだってこれ、あたしの」
「元はそうかもしれないけど、今は普通のポーションだよ。試しに俺が飲んでみようか?」
「え」
川上くんが小瓶の蓋を開ける。そして口元に――
あたしはぱっとポーションを川上くんの手から奪い取った。
「ちょ、ちょっと待って! の、飲むのなら、せめてあたしが……」
ポーションかどうかはさておいて。
飲むのと飲まれるの、どっちがやだかと言ったら、飲まれる方が嫌。
小瓶を顔に近づける。匂いは無い。おしっこ臭さもない。
意を決して小瓶に口を付けて傾け、液体を流し込む。
かすかなぬめりけ。心なしか甘みを感じる。のどを通ると身体が熱くなった。
「確かに栄養ドリンクみたいかも……」
「でしょ」
「まだ残ってるから、川上くんも飲んでみる?」
「え?」
あたしは小瓶を手渡した。
けど川上くんは動揺した様子で飲もうとしない。
「あ、ごめん。やっぱり、あたしのおしっこだから嫌だよね。ポーションっぽい感じではあったけど……」
「いや、そーじゃなくて……」
川上くんは戸惑った様子のまま、言い難そうに言った。
「さっき、美崎が口に付けたから……」
「あっ――」
あたしは別の意味で身体が熱くなり、再び川上くんから小瓶を取り返すと、残りの分も一気に飲み切った。
「ご、ごめんっ。あたしが全部飲んじゃった!」
「う、うん」
まさかの間接キスで、ドキドキ展開になるとは思わなかった。
「でもおかげで体力回復したっぽい! 間違いなくポーションだよ。これでお金の心配はなくなるねっ」
あたしは誤魔化すべく、食い気味に言う。
でも川上くんの表情に浮いた様子はなかった。
「……いや、このままだと厳しいな」
「え、どうして?」
「昨日の高レベルなハイポーションと違って、これは普通のポーションなんだ。売値はせいぜい、1~2ゴールド。これだと割にあわない」
「えっ……それだけ?」
あれだけおしっこ我慢したのに百円ちょっと。
これだと生活できない。
「最初のハイポーションなら、十万円くらいになるのに……」
「――となると、やはり最初のを再現するしかないね」
「それって……もしかして、お漏らし?」
「うん。それともうひとつ条件がある」
「……まだあるの?」
「うん。それは――俺の前ですること」
「………は?」
「おそらく、最初のは俺のレアアイテムスキルも関係していると思うんだ」
鑑定士とともに、川上くんが持っているスキルだ。
スキルというだけあって運を超えた特殊なもので、普通の人ならあけても空っぽな宝箱でも、スキル持ちの川上くんがあければ、財宝が入っている可能性があるという、いわゆるシュレーディンガーの猫的なものらしい。
「つまり、あたしのおしっこが、安いポーションに確定する前に、川上くんが見る――発見すれば、レア(高額)なものになる……ってこと?」
「うん」
まじめな顔してうなずきやがった。
お漏らしさせられるうえに、見られるって――なにその羞恥プレイ。
「あー、でも今したばかりだし……あ、あれ? なんかまたおしっこが」
「あ、たぶんさっきポーション飲んだから。あれ利尿効果があるんだ」
「なんなの、永久機関っ?」
う、言われたら、急に尿意が――
実は、さっき採取したおしっこは、それまで変に我慢しすぎたせいか、あまり出なかったんだ。
その出せなかった分が、ポーションの利尿効果と合わせて一気に襲ってきた。
「やっ、え、ほ、ほんと出ちゃう」
あたしは慌てて身体に力を入れて、おしっこを押しとどめた。
けど下着がじんわり熱くなる。少しちびってしまったみたい。
は、早くさっきの公衆トイレに……
と思ったら、川上くんが小瓶とともに、手をスカートの中につっこんできた。
「きゃっ、な、なに」
「大丈夫。これでしっかり採取するから」
「って、だ、出せるか――っって、や、当てないでっ、あう、で、出ちゃうっ」
小瓶がおしっこの出口を刺激した瞬間――
下着の中が一瞬で暖かくなった。
昨日のおもらしのせいで「癖」がついてしまったのか。
子供みたいにあっさり決壊してしまった。
恥ずかしい水音。太ももに伝わる熱い感触。
学校の制服を着たまま、立ったまま、外で、あたし、また、おしっこを……
川上くんがあたしの股に手を入れて零れ落ちるおしっこを採取している。たぶん彼の腕はおしっこまみれだ。
駄目なのに……恥ずかしいのに……
でも、なんか、あぁ――癖になりそう
「やった。ハイポーションだ! これは高く売れるよ。今夜は焼き肉だっ」
「あはははは」
手をあたしのおしっこで濡らしながらはしゃぐ川上くんの前で、あたしはおしっこを滴らせ、乾いた笑いをあげていた。
ちなみに、まだ他にも条件があったみたいで、試行錯誤の羞恥プレイはこれからも続くんだけど、それはまぁ先の話ということで。
聖女の力はおしっこ(ポーション)でした 水守中也 @aoimimori
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます