第32話 新星杯三回戦 VS ミア 後編
「これだけあってもいつかは
その言葉を聞いても、相変わらず気味の悪い薄笑いを浮かべて、“
「残念ですけれど、星は無数にありますの。いつかは終わるかもしれませんけれど、そのいつかまで、貴方は持ち堪えられるでしょうか?」
彼女の言う通り、彼女の
俺がこれまで撒いてきた
それを感覚的にも感じ取ったのか、ミアは笑みを落とし、落墜の制御を試みようとしていた。しかし上手くいかないようで、表情が苦々しく歪んでくる。様々な“なぜ”を
ヘザーは特殊な使い方をしたが、これは本来音響効果を高めたり、音を増幅した振動で掘削したりといった形で使われる。それを考えれば俺の使い方も正しくはないのだが、本来の使い方には近いだろう。
俺はすかさず
すると、これまで苦々しい表情を浮かべていたミアが、不意に笑みを見せる。
「どうやったのかは知りませんけれど……それ、
もう
元々、
「それがわかったからって、どうにもできないだろう?」
彼女の余裕な笑みを不穏に感じ、俺は焦って余裕のなさを態度に出してしまった。
「本当にそう思いますか? ミアが“
まさか、“
虚勢を張っているだけではないか。そうであってほしい。そんな俺の思いを打ち砕くように、ミアは“
これまで無造作に飛び回っていた星々が、彼女の頭上に集まっていく。一つひとつが融合されるわけでもなく、ある一点を中心として、公転するように回り出した。
「さあ、今度はどうです?」
公転するうちの一つが、勢いよく撃ち出された。そう認識した瞬間には、その一撃は俺の顔面のすぐ横を通り過ぎていた。
並みの
「……奥の手ってやつか?」
「驚いていただけました? これを見せるのは貴方が初めてなんですのよ。存分に堪能していってくださいましっ!」
“
決め技を持たない
だがこれでは、苦し紛れの奥の手ではなくて、奥の手の方が本命じゃないか。むしろ“
「今度は当てますわよ。……ですが、簡単には終わらせませんわ」
彼女の公言通り、今度は俺の右足首を貫いた。“定数接触”を狙いながら、じわじわと削っていくつもりか。真っ先に足を潰してくるあたり、警戒はしているようだ。
さっきの一発よりはまだ見えたが、避けられるほどじゃない。彼女が力場を振り切って
攻撃を受けているばかりでは本質は見抜けない。こちらからも反撃してみるか。
とりあえず
「何か考えているみたいですわね。そうですわ、せっかく簡単には終わらせないんですから、ちゃんと楽しませてくださいな」
まだまだ彼女から余裕の色は消えない。“
足を潰された俺では、そうそう簡単に間を詰めることもできない。と、彼女も思っているだろう。
まずは空砲を放つフリをして、
「なんですの、それ? やっぱりフローターとは違いますよねぇ……」
アストさん曰く、
実際、アストさんの高速移動も、フローターと
ミアも俺の不自然な軌道には違和感を覚えつつも、その正体には辿り着けていないようだった。
俺は
“
ここまで距離を詰められたのは嬉しい誤算だ。ここで仕留める。
ナイフに持ち替えて、一撃で仕留めようと彼女にぐっと肉薄する。足をやられている分、機動力はすべて
これで終わりだと思ったその瞬間、追い詰められた彼女が見せた極悪な笑みに嫌な気配を感じて、俺は咄嗟に後ろへ引き下がる。
その直後、俺がいたところに豪雨のように“
豪雨が止んだ後、避けきれずに何発かを食らった俺は、力なく地面に倒れ伏していた。タッチカウンターは二つで済んだが、かろうじて意識を保っているような状態だ。一発でも直撃すればほとんど肉体が機能しなくなるような攻撃。直撃だけは何としてでも避けたものの、その分神経の摩耗が激しい。急所を避けただけで、もろに貫かれた箇所もある。
だがミアもミアで、かなり疲弊している様子だった。ただでさえあれだけの数のエネルギー弾を制御するのはかなりの集中力を必要とする。それを一気に使い切ったんだ。消耗していない方がおかしい。
今が好機。相手を仕留めるなら、今が絶好の狙い時。ミアも恐らくそう思っているだろうが、お互い思うように身体が動かない。
しかし、むしろここを決めきれなければ、勝ちの目が遠くなってしまう。俺は持てる力を振り絞って、
彼女も、届かないのに俺が自棄になったのかと思ったらしく、気付いても避けようともしなかった。しかし、軌道が変わったのを見て、慌てたように銃を構えて撃ち落とそうとする。
するとここで、予期せぬ誤算があった。ナイフに向けて撃ち込まれたはずの弾丸は、大きく逸れて、ある一点に向かっていったのだ。そう、
そうか、さっきは“
撃ち落とせなかったナイフは、勢いよく彼女に突き刺さった。ように見えたが、からん、と弾かれたようにその場に落ちる。間一髪、
「どうする? 今のお前じゃ俺に打つ手はないだろう。もう降参するか?」
そうしてくれればどんなにありがたいか。俺としても、トドメを刺し切れるかどうかは怪しい。まだ
好戦的な彼女が応じるとは思えないが、彼女に打つ手がないのも事実。さて、どう判断するか。
「……お姉様がご覧になっている前で、降参なんて、できるわけありませんのよっ!」
そうか……アストさん、見に来てくれているのか。なら尚更、負けるわけにはいかない。彼女も同じ気持ちか。
仕方ない。これはルーツィアと戦うまで取っておきたかったんだけど、使うしかないか。
このフィールドにはいくつもの
俺は
見た目にはやや不自然な動きで、滑るようにミアとの距離を詰める。吊られているような動きが不気味だったせいもあるだろうが、ミアは驚いて腰が引けてしまったようで、その場に尻餅をついてしまった。そのまま狙いの定まらない銃を乱射するが、銃弾はすべて
さっきミアに弾かれたナイフを
さあ、今度こそトドメだ。拾い上げたナイフの切っ先を彼女の胸に突き立て、その刃を伸ばすように、
バイタル監視システムがミアの
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