第27話 魔法少女の子
「でも、その二つの否定的な要素を、みなさんのお母さんはクリアして、みなさんが産まれた、と」
「まあ、そういうことね。魔法少女が子を作らないのは、そういった不可能な要素もあるし、そもそも相手を見つけられないのもあるからね。わたしたちは普通の人とは生きている世界が違う。見せてあげられたらいいんだけど、そういうわけにもいかないから、話しても信じてもらえないだろうし。そういう意味では、
たしかに、オレも彼女らが現れるまでは誰にも理解してもらえず、友達も恋人もできなかった。オレが悩んで苦しんでいても、周りはそれを理解できない。頭がおかしくなったとでも思うだろう。だからオレにとって、彼女らのような存在と過ごすのはとても居心地がいい。それは彼女らにとっても同じなのだろう。
だが、可淑さんの話が恋バナに移りそうになったのを悟ったのか、珍しく静玖さんが口を挟んで、話題を転換した。
「それで、リンの生まれの話。魔法少女から産まれたけど、“魔月符”を持たず魔法少女にならなかった子供がどうなるか」
「そうだったわね。これも前例があまり多くないんだけど、恐らく、魔法の素質を受け継ぐと思われる。だけど魔力の源である“魔月符”を持たないから、魔法を使えない。
その可淑さんの説明だと、魔力摂取によって魔力を得たオレは、魔法少女のように魔法を使うことができる。そしてその力で、静玖さんの記憶を見た、ということになるのか。たしかに、それが一番納得がいく仮説かもしれない。
「だとすると、オレの母さんは魔法少女だったってことですか?」
「恐らくは。記憶に関する能力を持っているのは……“
母さんはずっと前に死んでしまった。でも実は、その当時のことをあまりよく覚えてはいない。父さんからは、あれは事故だったんだと聞かされた。本当はもっと、何かに巻き込まれて……。だとすれば、父さんも本当は魔法少女のことを知ってる? それなら、彼女らのお母さんと接触して、彼女らをうちに住まわせるよう手配したのも納得がいく、か。
散らばっていたピースが次々と組み上がっていくような感覚。でも本当に、これで合っているのか……?
「可淑さん、相手のエネルギーとか魔力を吸収するみたいな能力の魔法少女っていますか? 今日の男の能力、たぶんそんな感じだと思うんです」
「エネルギーの吸収……ピンポイントでその能力はないわね。わたしの能力が近いけど、厳密には違うし……。瑠璃子の能力の逆、とか。ああ、でも瑠璃子の能力の逆はわたしなのか」
どんな能力なんだ、二人は。そういえば前に可淑さんは、本来は記憶に作用させるような能力じゃないって言ってたな。本来はそうでないとしても、応用的にそういうこともできる、ということだ。今回の男も、応用的にエネルギーを吸収してみせただけ、なのだろうか。
「もしかしたらその男も、オレのように魔法少女の子供だったりしないかと思って。魔力さえ補給できる術があれば、魔法が使える可能性があるんですよね? もし、相手から魔力を吸収できるような能力だったとしたら、オレと違って他の魔法少女とも互角かそれ以上にやりあえるんじゃないかと思うんです」
オレの仮説を聞いて、一同は思案するように押し黙ってしまった。
魔法少女のことはまだまだわからないことが多い。それでも、今与えられた情報と、オレがこの目で実際に見たこと、体験したことを擦り合わせると、充分に現実的な仮説だと思えた。問題は、オレの知らない魔法少女の知識があって、この仮説を否定するのに充分だった場合だ。だからそれを確かめるために、彼女ら専門家に意見を聞いてみた。
「だとすれば、本当の意味での子供じゃなくて、人工的に生み出された存在、という方がしっくりくるかもしれないな。仲間がいるようなことも匂わせていたし。そうなると、わたしたちが不可能だと考えていることも、科学の力で可能にしている可能性もある」
「現状では、考えても仕方ないってことね。とりあえず今後の方針は、奴の捜索は凛太郎に一任するわ。でも、見つけても絶対に一人で立ち向かわないこと。それから妹たち、恐らくだけど、わたしか瑠璃子の能力が有効だと思うから、どちらかが合流するまでは戦闘を開始しないこと。いい?」
オレを含めたみんなが可淑さんの言いつけに快く答えて、ひとまず今日はこれでお開きになった。
時計を見てみれば、もうすぐ二十一時になろうかというところ。話を始めたのって、二十時過ぎくらいじゃなかったっけ。結構話していたような気がしたが、これが調子さんの能力なのか。
時間的には少し早かったが、明日も学校があるし、今日はもう眠ってしまうことにした。
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