第2話 川沿い旅館のリノベーション開始

川面を渡る風が、古びた木造旅館の軒を鳴らした。

《ゴールドリーフ・イン》で成功を収めたタクミは、次の挑戦としてこの川沿いの“居抜き旅館”を借り受けることを決めた。


「見た目はボロボロだが……立地は悪くない。

川を渡れば商人のレナトゥスまで、船で十五分。

ここを“水上の宿”として再生させる。」


だが、現地調査を進めるうちに、思わぬ“落とし穴”が見えてきた。

夜にはモンスターが川岸をうろつき、近くの山道には盗賊団が潜むというのだ。

客が安全に来られなければ、どんな宿も成り立たない。


旅館の改装とスタッフの集結

まずは安全対策とリノベーションから始まった。


ギルドで雇った職人たち

防御魔法の得意な魔法鍛冶リーネ、建築スキルを持つドワーフ《グラン》、清掃魔法を操るハーフエルフ《ルナ》。


「宿を直すだけではない。“命を守る宿”を作るんだ。」


壁には防護結界石を埋め込み、窓には衝撃吸収ルーンガラスを設置。

屋根裏の梁には、夜間の魔物侵入を感知する警戒符を吊るした。


内装は前の旅館の趣を残しつつ、浴場を温泉+魔力回復浴槽に改装。

食堂には、冒険者向けに高カロリー食とスタミナ料理の豚の山賊料理の新メニューを導入した。


新サービス:「船による送迎」

タクミは地図を広げ、川を指さした。


「山道が危険なら、水路を使えばいい。船で送迎すれば、安全かつ快適に来てもらえる。」


すぐさま、地元の船大工を雇い、木造船に《金葉(きんよう)》の紋章を刻んだ。

“ゴールドリーフ号”の誕生である。


この送迎サービスは大好評となり、旅人や冒険者たちの間で話題になった。


「陸路より安全!」

「水路なら夜も魔物が出ない!」


やがて、川沿い旅館は“水上宿ゴールドリーフ・リバーサイド”として人気を博すようになった。


安全対策も「付加価値」

不動産や宿泊業において、“安全”は何よりも強い付加価値です。

異世界でも現実世界でも、安心して利用できる環境づくりが顧客満足に直結します。


立地リスクを別の手段でカバー(例:船の送迎)

防犯・防災設備を整えることで信頼度アップ


「安全」もブランドの一部になる


夜、川面を照らすランタンの灯が、宿の窓に反射する。

フロントで帳簿を閉じたタクミは、静かに笑った。


「次は……この川を越えて、帝都にも進出だ。」


しかし。その頃、森の奥では、タクミの成功を妬む者たちが密かに動き出していた。


_____________________


ワンポイント解説


「立地の弱点」は、発想転換で“強み”に変えられる。

このエピソードで描かれている不動産投資の核心は、「立地リスクの再定義」です。


① 立地が悪い=失敗、ではない

川沿い・山道・治安不安という条件は、一見するとマイナス要素。

しかしタクミは「危険な陸路」を嘆くのではなく、

水路という代替アクセスを用意しました。


現実の不動産でも

駅遠 → 送迎バス

人通りが少ない → セキュリティ強化

古い建物 → リノベで差別化

といった形で、欠点は工夫次第で価値に転換できます。


② 「安全」はコストではなく、投資

防護結界・警戒符・送迎船は、すべてコストがかかります。

しかしこれは単なる支出ではなく、

“安心を買ってもらうための設備投資”。


不動産・宿泊業では

防犯

防災

安心感

が揃うことで、

価格競争に巻き込まれないブランドが生まれます。


③ 機能を“売り”に変える発想

送迎船は単なる移動手段ではなく、

「この宿なら安全にたどり着ける」という物語性ある付加価値になっています。

これは

コンセプト賃貸

テーマ型宿泊施設

体験価値重視の物件と同じ考え方です。


安全・動線・体験を設計できる投資家こそ、

長く勝ち続けることができます。


梅ばあさんの言葉

「立地が100点の物件は高すぎる。70点の物件を、100点に見せる仕組みを作れ。」


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異世界不動産投資講座 レバレッジは剣より強し!目指せFIRE!! 虫松 @mushimatsu

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