第5話 それぞれの研究
二宮博士は、警察組織に入っての研究なので、実際に、
「存在が消された」
というようなことはなかった。
ちゃんと、住民票も存在しているし、世間体には、
「警察の科学捜査班」
ということになっている。
ただ、その立場としては存在しているが、あくまでも、
「空気のような存在」
ということである。
つまり、
「出世もしなければ、外部の人間はおろか、警察内部の人と会う」
ということもないというのだ。
「家族はどうなる?」
ということであるが、
「帰省などは定期的に行っていて、ただ、余計なことを言わない」
というだけだ。
家族の人間には、
「警察の化学班にいる」
ということを言っているので、別に仕事のことを話さなくても疑われるということはない。
むしろ、昔から、
「無口だった」
ということで、
「別に、誰からも疑われることもなかったのだ」
彼のような
「特殊組織」
というものに所属している人は、全体で、100人くらいだろうか?
これは、
「警察庁と、公安委員との間で極秘に作られたもので、実際の、警察組織とは、直接の関係がない」
だから、
「事件に関係することもない」
つまりは
「絶対に、犯人と疑われるところにはいない」
ということでもあるのだ。
もし、何かの偶然が重なったりして、容疑者の一人に出てきたとしても、警察の捜査では、
「絶対にたどり着けない」
というところにいるというわけだ。
さすがに、
「死んだことにする」
というわけにはいかないし、
「上からの圧力」
ということであれば、逆に、自分から、彼らのことを公表しているようなものではないか。
それを考えると、
「どのように警察内でごまかしているのか分からないが、そこには、別の組織が暗躍している」
ということになるのだろう。
それだけ、
「警察における、裏の組織というのは、何重にも張り巡らされた枠の中に存在している」
といっていいだろう。
そんな組織の中で、二宮博士が研究しているのは、
「心理学」
であった。
今研究しているのが、大きく、二つあり、一つが、
「三すくみの関係」
というものであった。
いわゆる、
「抑止力」
というものをつかさどるというもので、いわゆる、
「じゃんけん」
であったり、
「ヘビ、ナメクジ、カエル」
という三種類において、それぞれにけん制するという関係性のものである。
そこに、
「心理学」
という発想が絡むことで、
「平和というものの定義」
というものを考えていたのが、
「一昔前」
の、組織であった。
ここでのひと昔というのは、
「数十年」
という単位で、この場合は、
「年号が平成になった」
ということで、
「30数年」
という年月であった。
その頃は、まだ、
「東西冷戦」
というものがあり、実際には、すぐに、冷戦が終結した
ということで、
「社会的には、もう国家体制というものが、東西れ戦ではなくなった」
ということから、
「核の抑止力」
というものの考えかたをしないでもいいということになるというのであった。
実際には、
「国家権力」
というものは、
「核の抑止力」
というものを切っても切り離せないということであったが、少なくとも、
「東西冷戦」
というものがなくなった時点で、
「二大巨頭」
という考えがなくなったのだ。
しかし、実際には、
「核保有国」
というのは、
「複数国ある」
ということで、それこそ、
「小規模な国が、偶有割拠となる」
ということを警戒しなければいけないといわれるのであった。
では、
「社会体制をどのようにすれば、抑止力を保つことができるか?」
と考えた時、
「三すくみ」
というものを利用するということである。
実際には、
「三つ巴」
ということであっても、その力の均衡という意味であれば、十分に、抑止力となることができるというものだが、
「三つ巴というと、あまりにも直接的すぎる」
ということから、
「三つ巴と三すくみの関係」
というものを研究するというのが、不可欠だということになるのであった。
どちらにしても、
「三つというのがキーワードであり、今までのいろいろな考えかtがから、三という数字が、いかに、緊張を保つには大切なことか」
ということになるのだ。
そういう意味で
「三すくみ」
「三つ巴」
以外でも、三という数字がつかさどるものとして、
「世界の七不思議」
と言われる、
「バミューダトライアングル」
であったり、
「ピラミッドにおける三角形というパワー
などが、重要視されるものだといってもいいだろう。
人間は、
「三角形」
というものに、どこか神秘的なことを考えながら、必要以上には、考えないようにしていたということかも知れない。
それが、まるで、
「路傍の石」
という考えかたに近いということであれば、案外、
「悪であっても、国家組織としての秘密結社」
ということであっても、その本質は、変わらないものだといってもいいのかも知れない。
そんな中で、二宮博士は、
「三すくみ」
というものを考えていた。
「これが犯罪とどのように結びついてくるのか?」
ということは、なかなか難しい発想だ。
しかしこれが、
「実際に考えられている犯罪において、その仕組みを新たな方向から見る」
ということであれば、ありではないだろうか?
特に、
「三すくみ」
という考えかたとして、犯罪であれば、普通に考えられるのは、
「主犯がいて、共犯がいる」
ということで、そもそも、
「犯罪の企画立案者」
というのがいるわけである。
これが殺人事件ということであれば、
「誰かを殺したい」
という動機があり。その動機によって、中には、それが復讐だったとすれば、
「犯人を殺す」
ということを果たした時点で、
「大義を果たした」
ということで、
「その場で自害する」
ということもあるだろう。
それは、動機が、
「復讐」
ということであり、
「自分にとって大切な人の復讐を終えれば、自分の役目が終わった」
と考えない限りは、
「警察に捕まりたくない」
ということで、犯罪計画の中には、
「自分が捕まらないようにするには、どうすればいいか?」
ということが盛り込まれているに違いない。
そのために、
「共犯」
というものを作ったり、
「アリバイ工作」
というものを行ったりするのだ。
中には、
「自分以外の人を犯人だ」
ということをでっちあげるという作戦を取る人もいる。
さらには、探偵小説などにおいては。
「自分は死んだことにする」
というような、
「死体損壊トリック」
などというのも考えられたりしたものだ。
今の時代では、
「DNA鑑定」
であったり、
「街の至るところに防犯カメラがある」
などということで、
「アリバイ工作」
というのも、なかなかうまくいかないということになるだろうが、逆に、それを逆手に取る形で、
「防犯カメラの映像が、実際にアリバイを証明してくれた」
ということになるだろう。
それを思えば、
「事件というものが発生すれば、まず警察は、事実の積み重ねを行い、そこから、矛盾であったりするものを見つけ、そこを突破口にして、犯人が組み立てた犯罪計画というものを解いていく」
ということになるだろう。
二宮博士が、
「三すくみ」
というものに眼をつけたのは、
「今まで起こった犯罪というものを、自分なりに分析していけば、三という数字にかかわりがあることが多いような気がする」
と気づいたからだ。
そして、そこで考えたのが、
「抑止力」
というもので、この三すくみの関係というものが、また別の発想に導かれるものだとも考えるようになったのだった。
というのは、
「三すくみ」
というものとは別に、自分が、心理学というものの専攻を大学で行っていたということで、大学時代に、気になっていた発想と、なぜか、この三すくみという関係を結び付けたのであった。
これは、
「偶然なのかも知れない」
ということであったが、それは、
「彼の天才たるゆえん」
ということからなのかも知れない。
この、
「心理学的な発想」
というのは、
「カプグラ症候群」
というものであった。
これは、昔から存在している考えかたというものではなく、どちらかというと、
「約半世紀前くらい前に言われていた発想」
ということであり、
「その時には、まだ、研究に入った時期」
というくらいであった。
「カプグラ症候群」
というのは、
「自分の近しい人物が、悪の秘密結社によって、別の生物に入れ替わっていて、いずれは、自分を殺してしまう」「
という発想である。
つまりは、一種の、
「被害妄想」
のようなものだといってもいいかも知れない。
これは、
「特撮が流行りだした頃」
に結構言われていたもので、
「宇宙人による画策」
ということであったり、
本人そっくりのアンドロイドと入れ替わっている」
という発想であるが、実際には、
「どんなに似せて作っても、本人ではないので、いずれは、見つかってしまう」
ということである。
ただ、これは、
「それがバレた」
ということが最終ではないのだ。
「入れ替わっている」
ということをむしろその人物に知らしめて。ひょっとすると、入れ替わっていないとしても、
「そう信じ込ませることで、相手を心理的に追い詰める」
ということが問題となるのだ。
だから、
「カプグラ症候群」
というのは、心理的な問題だということで、その人物を、
「疑心暗鬼」
にさせることで、精神をむしばみ、その発想を持っていて、
「人間の間にある信頼関係を崩す」
ということから、
「何もしなくても、殺しあう世界がやってくる」
という発想だったりするのだ。
しかし、この話を特撮でテーマにした時、ナレーションで面白いものがあったのを覚えている。
再放送で何度お見たので、印象深いのだが、
「人間の闘争心と、疑心暗鬼を煽るとは、恐ろしい宇宙人だ」
といっておいて、そのあとに、
「でもご安心ください。これは未来のお話です。人間は、それぞれ宇宙人に狙われるほど、お互いを信用していませんから」
という、
「実に皮肉というパンチの利いた話だった」
ということではないか。
そういう意味で、今の人間は、
「絶えず、疑心暗鬼」
ということになっていて、お互いに、兵器で殺しあうということが普通にあるではないか。
「動物の中で、私利私欲のためだけに殺しあうのは人間だけ」
と言われている。
ただ、これは、
「他の動物を知らない」
ということから、実際に、
「他の動物に、私利私欲というものがあるのか?」
という根本的なことが分かっていないということで、
「本当に人間だけだ」
と思うのは、
「人間が、どの動物よりも高等だ」
ということの裏返しであり、その高等さの反面として、
「私利私欲」
というような悪を持っているということへの証明ということになるのではないだろうか。
それを考えると、
「カプグラ症候群」
というのは、
「人間というもののエゴが作り出した、疑心暗鬼であったり、嫉妬や妬み」
などというものとしての、幻影ではないか?
と考えられるのである。
そこに三すくみという考えかたと絡めるのは、本来であれば、
「1:1」
という発想が唯一なのだろうが、それが複数にんあると、倍数として増えていくということから、
「考え方が増幅していく」
ということで、
「研究の幅が広がる」
というものだ。
あくまでも、
「二宮博士」
というのは、
「研究者」
ということで、
「唯一無二だ」
と考えていることで、
「三という数字を考える時、それ以上の数字は、あくまでも、三からの派生でないといけない」
と考える。
だからこそ、
「カプグラ症候群」
においての、疑心暗鬼というものの正体を見つけようと考えるのであった。
警察の研究員である、
「二宮博士」
とは別に、
「悪の秘密結社」
においても研究員である、
「市場博士」
というのは、
「昔から近未来の発明」
と言われ、いまだに解決していない、
「タイムマシン」
という発想であったり、
「ロボット工学」
というものを研究していた。
元々、誰もがやっている研究というものを、まず研究することで、
「ここから先は、いかに研究するか?」
ということを考えるようになった。
つまりは。
「一つの研究において、それぞれにターニングポイントがある」
ということで、
「そのターニングポイントがどこにあり、どのような発想に基づくものか?」
ということに掛かっているということになるのだ。
それが、
「市場博士の発想」
ということで、実際に、タイムマシンというもので、前述のような、
「タイムパラドックス」
であったり、
「タイムスリップ」
「タイムリープ」
などという発想をいかに考えるかということで、その場のターニングポイントというのは、
「時系列というものを、いかに理解するか?」
ということに掛かっているといってもいいだろう。
「現在。過去、未来」
ということで、
「その中心にあるのが現在だ」
ということを考えれば、
「現在」
というものが、いかに前に進んでいくものか?
ということで、
「まるで尺取虫のようではないか?」
ということになるのであった。
実際に、
「時系列で考えると、未来はどんどん減っていくが、過去は増えていく」
ということになる。
ただ、
「過去も未来というものも、無限ということなので、あくまでも曖昧だといえるだろう」
そいうことで、現在の一瞬は変わらないという発想から、
「時系列」
を考えると、
「現在というものと、無限というものとの絡み」
というものが、
「タイムトラベルというものの発想につながってくる」
といえるのではないだろうか?
その発想を、市場博士は、
「結構前から考えていた」
というのだ。
実際には、
「昔のある博士が発想していた」
ということであり、それを書き残した文章が、まるで暗号のようになっているので、誰にも分からなかったのだ。
それは、
「自分の発想を、他の人に知られたくはない」
ということからの
「疑心暗鬼」
というもので。それが、
「二宮博士」
の考える、
「カプグラ症候群」
と呼ばれる、
「疑心暗鬼」
というものとつながってくるというのではないだろうか?
それを考えると、
「市場博士」
と、
「二宮博士」
というのは、それぞれに、
「運命の糸」
というもので結ばれているのではないか?
ということになるのではないだろうか?
それが、二人の研究家の発想で、実はもう一人重要人物がいるのだが、その人はまだ、表に出てきていないのであった。
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