第7話 細胞レベルでの再生

 ジイクが現れてから、我が家は久しぶりに家族三人で夜更けまで語り合った。

 父さんは渋い顔をしながらも、最後には「昇の判断に任せる」と言ってくれた。


 家族が揃う場で、ジイクは契約書を広げ、難しい箇所はその都度、噛み砕くように説明してくれた。日本語も不思議なほど自然で、こちらの疑問や不安を察して先回りして答えてくれる。その態度に、俺たちは少しずつ警戒を解いていった。


 契約期間は三年間。

 儀式のように、ジイクは自らの身体の一部をちぎり、俺の口に含めと言った。抵抗はあったが、飲み込むとそれはゆっくりと溶け、確かな変化が身体の内側から広がっていった。


 再生は静かに始まった。

 植物の根のようなものが伸び、二時間ほどかけて手首が形を成す。まるで三Dプリンターを眺めているようだった。やがて手のひら、指へと完成していく。


「へえ……身体って、こうやってできるのねえ」

 母さんが感心したように呟く。


「んなわけないだろ」

 そう言い返しながらも、俺たちは目を離せなかった。


「……エイリアンって、本当にいたんだな」

 父さんは呆然としたまま、そう言った。


 俺は再生した手を何度も動かした。グー、パー、指を折り曲げる。

「痛みは?」


「ない。完全に元の手だ」


「……よかったな」

 父さんの声が震えていた。


◇◆◆◆


 後日、父さんはジイクを真正面から問い詰めた。

「昇は、俺の宝だ。もし三年の間に何かあれば――」

 言葉にせずとも、その覚悟ははっきり伝わったらしい。

 ジイクは静かにうなずき、誠実さを崩さなかった。


 こうして、俺たちとプロギラ星人の“お試し期間”が始まった。

 不安は消えないが、家族の笑顔がまた、見られたことがお互いに嬉しかった。

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ハンド クースケ @kusuk

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