第四章 真実の解明



深夜、神崎はプラネタリウムのドームで、もう一度事件を検証していた。


遠藤技師に協力してもらい、事件当日と同じプログラムを再生した。


「宇宙の果てへの旅」。上映時間九十分。


神崎は座席に座り、プログラムを見た。星々が流れ、銀河が渦を巻く。壮大な音楽。


そして、上映開始から四十五分後。


音楽が最高潮に達した瞬間、神崎は気づいた。


「この瞬間だ」


プログラムの中で、最も音が大きく、最も映像が激しい瞬間。もし、この時に装置が作動したら、誰も気づかないだろう。


神崎は時計を確認した。午後七時十五分。


「遠隔操作装置は、この時刻に自動的に作動するようプログラムされていた」


つまり、犯人は上映開始時刻から逆算して、装置が作動する時刻を設定したのだ。


「犯人は、この時刻に自分がドームにいないようアリバイを作った」


白石は午後七時〇二分にドームを出た。そして七時二十分に戻った。


完璧なタイミングだ。


「でも、どうやって証明する?送信機は見つかっていない」


神崎は考え込んだ。そして、ふと気づいた。


「待てよ。もし装置がタイマー式なら、送信機は必要ない。装置自体にタイマーが組み込まれていれば」


神崎は遠藤に確認した。


「あの装置、タイマー機能はありましたか?」


「確認してみます」


遠藤は装置を詳しく分解した。そして、小さなチップを発見した。


「これは...プログラマブルタイマーです。特定の時刻に作動するよう設定できます」


「設定時刻を確認できますか?」


遠藤はパソコンにチップを接続した。データを読み取る。


「午後七時十五分に設定されていました」


神崎は拳を握った。


「やはり。これで証明できる」


「でも」遠藤が言った。「これだけでは、誰が設定したか分かりませんよ」


「いえ、分かります」神崎は微笑んだ。「この装置を設置できたのは、施設の鍵を持ち、座席の構造を知り、電子機器に詳しい人物。そして、定期点検の後に設置した人物」


「それでも、証拠が」


「もう一つ、確認したいことがあります」


神崎は監視カメラの映像を再び確認した。過去一ヶ月分の映像を。


そして、見つけた。


三週間前の深夜、午前二時。施設に入る白石の姿。


「これは何をしていたんですか?」警部が尋ねた。


「恐らく、装置の設置です」


「でも、証明できますか?」


「できます」神崎は言った。「白石さんの指紋を調べてください。装置に残っているはずです」


翌日、鑑識の結果が出た。


装置から、白石の指紋が検出された。


「これで逮捕できます」警部が言った。


だが、神崎はまだ満足していなかった。


「もう一つ、決定的な証拠が欲しい」


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