第三章 真実への手がかり


神崎は白石を呼び出した。


「白石さん、お聞きしたいことがあります」


「何でしょうか?」


白石は平静を装っていたが、内心では動揺していた。座席の装置が見つかったのか?


「座席に仕掛けられた遠隔操作装置について、何か知っていますか?」


白石の顔色が変わった。


「遠隔操作装置?」


「桐谷館長の座席に、絞殺装置が仕掛けられていました。無線で操作できる仕組みです」


「そんな馬鹿な」


「あなたはこの装置について知っていますか?」


「知りません。私は無実です」


「では、なぜ上映中にわざわざ席を立ったのですか?タイミングが良すぎませんか?」


「偶然です。本当にお腹の調子が悪かったんです」


神崎は白石の目を見つめた。


「白石さん、正直に話してください。あなたには動機があります。三年前の特許の件。桐谷館長はあなたの研究成果を盗んだ」


白石は沈黙した。


「私は、あなたの気持ちが分かります」神崎は静かに言った。「裏切られた怒り。失った全てへの悲しみ。でも、殺人は解決にはなりません」


「私は殺していません」白石は声を絞り出した。「証拠がありますか?」


「装置は見つかりました。後は、それを操作した証拠だけです」


神崎は白石の自宅を捜索する令状を取った。そして、翌日、白石のアパートを訪れた。


部屋は整然としていた。本棚には天文学の専門書が並び、机には研究資料が積まれている。


「遠隔操作装置の送信機を探します」


警察官たちが部屋を捜索した。しかし、何も見つからない。


「ない...」神崎は困惑した。「どこかに隠したのか?」


白石は内心でホッとした。送信機は既に処分してある。事件の翌日、川に捨てた。証拠はもう何も残っていない。


「これ以上の捜索は令状の範囲を超えます」警部が言った。「証拠がなければ、逮捕できません」


神崎は悔しさを噛み締めた。


「白石さん、あなたは巧妙です。しかし、必ず証拠を見つけます」


「どうぞ、好きなだけ探してください」白石は冷静に答えた。「私は無実ですから」


神崎は一度、事件から離れることにした。頭を冷やす必要があった。


その夜、神崎は市内のカフェで一人、コーヒーを飲んでいた。事件のことを考えながら。


「何か見落としている。何か決定的な手がかりを」


隣のテーブルで、母親が子供に星座の話をしていた。


「ほら、あれがオリオン座よ。三つ並んだ星が見える?」


「見える!すごく綺麗!」


神崎は何気なくその会話を聞いていた。そして、突然、何かに気づいた。


「三つ並んだ星...タイミング...」


神崎は立ち上がった。


「そうだ!タイミングだ!」


彼は急いでプラネタリウムに向かった。


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