第1話『軽さの代償』④

霧島『こっち。旧校舎の奥』

柳『旧校舎?』

霧島『そう。ミステリー研究部、そこ』

柳『……何それ。怪しすぎだろ』

霧島『怪しいからミステリーなんだよ』

柳『……』

霧島は軽く笑った。

でも柳は笑えなかった。

旧校舎の廊下は薄暗くて、窓の外の夕焼けだけが頼りだった。

足音が二人分、響く。

霧島『……ねぇ薫』

柳『なに』

霧島『さっきのこと。俺、本気で心配してるから』

柳『……』

霧島『信じられない?』

柳は少しだけ間を置いて言った。

柳『……信じたい』

霧島『……うん』

霧島の声が、少し震えた。

その震えは、本物に聞こえた。

でも、柳は安心できなかった。

信じたいと思った瞬間に、

もう負けてる気がした。

旧校舎の突き当たり。

錆びたプレートがぶら下がっている。

『柳 薫さん♡』

呼ばれた瞬間、背中が冷えた。

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『あなたの心軽くします』みんな笑ってるのに、俺だけ怖い。 kinami @KiNam1

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