第1話: 女神の驚きと決断の瞬間3

ミリアは銀色の髪と緑の瞳の美しい女性で、アテナの弟子のような存在だった。


「アテナ様、お呼びですか? 何かお手伝いできることが?」

アテナはエルを抱いたまま、微笑んだ。

「ええ、ミリア。私の仕事をしばらく任せるわ。転生管理をよろしくね。あなたならできるはずよ」

ミリアは驚いた表情で、「ええっ? アテナ様が休暇を? 珍しいですね。でも、なぜ急に? この赤ちゃんが関係しているのですか?」

アテナは頷き、詳しく説明した。「そうよ。この子、エルは特別な召喚でここに来たの。言葉が話せないから、私が加護を与えたわ。でも、一人じゃ心配でね。私が人間になって、一緒に異世界へ行くことにしたの。あなたに後を任せられる? 転生者の希望を聞いて、公正に扱ってね。万一のトラブルは、神託の鏡で連絡して」

ミリアは考え込み、「わかりました、アテナ様。私も経験を積みたいと思っていましたから、喜んでお引き受けします。でも、人間になるなんて… 力は制限されるんですよね? 危険じゃないですか?」

アテナは笑い、「心配ありがとう。でも、ある程度の力は残るわ。魔法と戦闘スキルで十分よ。それに、のんびり生活が目的だから、大きな冒険はしないつもり。あなたは転生のルールを厳守してね。加護のバランスを崩さないように。魂の浄化も忘れずに」ミリアは真剣に頷き、「はい、アテナ様。ルールは心得ています。魂の希望を優先し、異世界の均衡を保つわ。あなたは楽しんでくださいね。異世界の食べ物はどう? 人間の感覚で味わえるなんて、羨ましいです」アテナはくすくす笑い、「ふふ、そうね。甘いお菓子や温かいスープ… 楽しみだわ。じゃあ、よろしくね。連絡はいつでも取れるようにするから」


ミリアは光の渦に戻り、去っていった。

アテナはエルを抱きしめ、「これで準備万端よ、エル。私の体を人間化するわ。少し時間がかかるけど、待っててね」彼女は玉座の前に立ち、両手を広げて呪文を唱え始めた。「神の力よ、封じ込めよ。人間の器に宿れ。力の九割を眠らせ、残りを日常の糧とせよ。容姿は美しく、髪は金色、瞳は青く… 転生の儀、開始!」

輝く光がアテナを包み、彼女の体が変化した。


神のオーラが薄れ、普通の人間のような温かみのある肌になった。ドレスはシンプルな旅人の服に変わり、長い金髪が風に揺れた。アテナは新しい体を確かめ、指を動かした。「うわ、地面の感触が違うわ。重力がかかるのね… 力は制限されたけど、火の玉くらいは出せそう。ふふ、美人になったわよ。鏡で見てみたいけど、時間がないわね」


エルは心の中で感心した。「女神さん、きれい… 人間になってもすごいよ。俺も早く話せるようになりたいな」アテナはエルを抱き上げ、「さあ、エル。一緒に異世界へ! あなたを守って、のんびり無双ライフを始めましょう。まずは安全な場所に転生して、街を目指すわよ」


二人は金色の光に包まれ、天界の間から消えていった。次の瞬間、異世界への扉が開かれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る